豊田合成/芦森工業
令和5年度企業結合事例6〔豊田合成/芦森工業〕
「とよだ」「あしもり」
https://gyazo.com/57a732c0350b5ed52f4ab6592d309087
少数株式取得 43
豊田合成が芦森工業の議決権の20%超を取得
両者の間の内発的牽制力が残り得るが、仮に完全に一体化したと考えても競争の実質的制限が成立しないのであれば、触れる必要はないことになる。
商品役務の概要説明 43-47
市場画定
https://gyazo.com/b7cd44e88e7c84d4e8e0e1be09e0cca5
「商品範囲」47-48
エアバッグ
各種エアバッグ間で、需要の代替性はないが供給の代替性はある。
1つにまとめてもよいが、
運転席用エアバッグはステアリングホイールとの関係を検討する必要
など
「より慎重に検討する観点から」の説明は、上記リンク先ご参照。
シートベルト
各種シートベルト間で、需要の代替性はないが供給の代替性はある。
なので、1つにまとめる。
ステアリングホイール
各種ステアリングホイール間で、需要の代替性もあるし供給の代替性もある。
なので、1つにまとめる。
「地理的範囲」48
「日本全国」
(上記6つのそれぞれについて別々に、地理的範囲を考えるべきであるが、答えが同じなので便宜的に1つにまとめて述べている。)
競争の実質的制限
基本的な考え方
https://gyazo.com/87ead6a2b2b45d26d7483bb39231dcbd
垂直型 48頁注4
https://gyazo.com/06a73872f769d6fbbdf086036ba0210f
川上市場:自動車部品
A = 芦森工業
川下市場:自動車
B = トヨタ自動車
川下市場での競争の実質的制限は、Yにとって多数のXがいるので生じない。
川上市場での競争の実質的制限は、トヨタ自動車が調達先分散の観点から顧客閉鎖をしないはずであり、また、Xにとって多数のYがいるので、生じない。
注4第1段落の表現は、やや誤っていると思われる。もし、芦森工業が豊田合成の議決権を取得するのであれば、豊田合成の議決権を持つトヨタ自動車と芦森工業の間の「間接的な企業結合関係」を論ずることとなる。しかし本件は、豊田合成が芦森工業の議決権を取得するのであるから、単純に、トヨタ自動車→豊田合成→芦森工業という一直線の結合関係が生ずるだけであると思われる。
水平型 52-54
エアバッグ(実は4種に分かれる(上記))とシートベルトで、ほぼ同内容の検討結果
考慮要素を共通的に掲げた上で(各ア)、「単独行動」(各イ)と「協調的行動」(各ウ)を判断
「協調的行動」において、一度調達先として選定されれば大口かつ安定的な取引を獲得できるので、協調的行動が起こりにくい構造がある旨の指摘。
混合型 55-58
一般的枠組み
https://gyazo.com/c94f77237e59897b525090de20630205
他者排除
甲市場におけるXの排除 または 乙市場におけるYの排除
原因
組合せ供給
情報入手(それによって競争者を出し抜く場合)
供給者の減少により、その市場における牽制力の減少
協調的行動
情報入手(それによって競争者の行動を予測しやすくなり競争しなくなる場合)
潜在的競争の消滅
Aが乙市場に参入しようとすることがなくなる または Bが甲市場に参入しようとすることがなくなる
なお、48や49の「商品拡大」という説明は、意味が乏しい。
混合型①(運転席用エアバッグとステアリングホイール) 55-57
甲:運転席用エアバッグ A:芦森工業
乙:ステアリングホイール B:豊田合成
ア 55
組合せ供給による甲市場(運転席用エアバッグ)でのXの排除の懸念
他にも組合せが多数あり(X1とY1、X2とY2、など)、需要者(自動車メーカー)は選択肢に困らない。
イ 56-57
情報入手による乙市場(ステアリングホイール)でのYの排除の懸念
B(豊田合成)が、A(芦森工業)経由でYの情報を入手し、「競争上優位になる」57という懸念
心配には及ばない
Yの情報のうち、Aと組む型のステアリングホイールの情報しか流出しない
流出する情報も、原価の前提とされている詳細な情報を含まない
混合型②(エアバッグとシートベルト)
ア(組合せ供給)57-58
甲:エアバッグ A:豊田合成
乙:シートベルト B:芦森工業
他にも組合せが多数あり(X1とY1、X2とY2、など)、需要者(自動車メーカー)は選択肢に困らない。
イ(潜在的競争の消滅)58
(はっきりと書いていないので、全体から、言いたいことを読み取ると、次のとおり。)
甲1:エアバッグ単品 A:芦森工業
甲2:シートベルト単品 A:芦森工業
乙:エアバッグとシートベルトの一体供給 B:豊田合成
芦森工業が単独で乙(一体供給品)に参入することは難しいので、本件企業結合によって参入が起こらなくなる、という関係にない。58