混合型企業結合における「商品拡大」と「地域拡大」の分類について
結論としては、この分類は有害無益である。
この分類は、混合型企業結合には次の2種がある、という理解が前提。
商品役務αのA社と、商品役務βのB社が、企業結合(「商品拡大」)
同じ商品役務αで、地域甲のA社と、地域乙のB社が、企業結合(「地域拡大」)
しかし、「商品拡大」と「地域拡大」で、違反要件の成否判断の内容が異なるわけではないので、分類する実益がない。
もしかしたら、次のように考えられているのかもしれない。
「商品拡大」は、懸念される行動として他者排除(組合せ供給など)が想定される
「地域拡大」では、懸念される行動として潜在的競争の消滅が想定される
例えば、平成27年度企業結合事例10〔肥後銀行/鹿児島銀行〕
しかし、
「商品拡大」でも、懸念される行動として潜在的競争の消滅が想定されることはある。
例えば、令和5年度企業結合事例6〔豊田合成/芦森工業〕58頁
「地域拡大」でも、懸念される行動として他者排除(組合せ供給など)が想定されることはある。
例えば、平成25年度企業結合事例7〔中部電力/ダイヤモンドパワー〕
中部電力の名古屋での電気と、ダイヤモンドパワーの東京での電気の、組合せ供給
したがって、意味はない。
実益のない分類は、有害。