段ボール
2024-11-10現在、上訴の有無について未確認
東日本需要者向けトーモク等
東日本需要者向けレンゴー等
令和6年10月23日 コバシ等 上告不受理
令和6年5月31日 東日本需要者向けレンゴー等東京高判
東京高判令和6年5月31日・令和3年(行ケ)第6号〔東日本地区所在需要者向け段ボール製品レンゴー等〕
令和6年5月31日 東日本需要者向けトーモク等東京高判
東京高判令和6年5月31日・令和3年(行ケ)第11号〔東日本地区所在需要者向け段ボール製品トーモク等〕
■■ここからセミナー資料■■
約束事
事件番号順とします。
r○○ → レンゴー等判決書○○頁
t○○ → トーモク等判決書○○頁
平成25年改正(審判制度廃止)前の手続規定が適用される事件
細部を除き、以下の話には影響しない
「[審決の判断は]不合理であるとはいえない」という退け方は、審決取消訴訟において、事実認定についてなら可能だが、法律問題についてはできないはず。
関係規定
独禁法2条6項
「共同して」対価を決定等
「意思の連絡」と解釈
「一定の取引分野における」「競争を実質的に制限する」
独禁法7条の2第1項(r69、t44)
「令和元年改正後7条の2第1項柱書き+1号」と本件関係部分は共通
「当該商品又は役務」の「実行期間」の「売上額」の10%が課徴金
施行令5条1項(r72、t47)
令和元年改正後施行令4条1項と同じ
売上額から控除
値引き(1号)
割戻金(3号)
意思の連絡
支部会について、本件における具体的な連絡を明確に認定せず従前からの慣行のみを根拠として意思の連絡を認定した部分があるのではないか r10-12、t10-118(当事者の主張 r24)
従前からの慣行のみを根拠とするのなら、従前からの慣行を詳細に認定すべきではないか、という指摘をいただいた。
市場画定:東日本全体で1個の市場(一定の取引分野)r46-48、t32-34
個別に分けてもそれぞれ違反は成立する場合
個別に分ければ別の見え方となる場合
例
特定地域ではアウトサイダーが多い
特定地域では競争があり得ない
その部分について市場から除外、または、「当該商品又は役務」に非該当、はあり得る処理
排除措置命令での今後の共同行為・情報交換の禁止 r50-51
「同一の企業グループに属するなど実質的に競争関係にない事業者間に適用がないことは明らか」
前提:グループ内に、グループ外と共同行為をした社が複数いれば、その複数が全て違反者となる
壁紙の排除措置命令(シンコールとシンコールアイル)は、この争点を意識したものかもしれない。 グループ内共同行為(いわゆるエコステーション問題)について、参考になる。
課徴金
公取委の認定
合意日:平成23年10月17日
実行期間の始期:平成23年10月25日(レンゴー)
市場画定の問題(前記)を、課徴金の問題として再構成できる場合はあり得る。
合意日より前から新価格となっていた場合 r52-53
価格維持も違反の影響のうち、という見方
合意日より前に民間入札が終わっている場合 r58-59
簡便な課徴金計算のために引渡基準がとられていることとの関係
引渡基準でなく契約基準をとるための「著しい差異を生ずる事情があると認められるとき」(施行令5条2項(現行施行令4条2項)に該当するか。
合意日前に年間契約をしている場合 r61-62
(民間入札の場合と同じ議論になるのではないか。)
需要者が子会社などである場合 r53-55、58、59-61、61、62-63、64
「実際に価格交渉を行い、その販売価格を引き上げていた」
競争の可能性がない需要者に対しても、価格交渉は行うであろう。
この論点のリーディングケースであるポリプロピレン課徴金出光興産東京高判は、子会社である出光ユニテックが親会社以外から購入する可能性があることを前提としている。 「[親会社]以外の事業者からのポリプロピレンの購入を法律上,あるいは契約上禁じられていたことを認めるに足りる証拠もない。」
有力な競争者がいる場合 r55-56
事実認定で退けられている。
協力値引きの控除 r55
施行令5条1項1号(現行施行令4条1項1号)が例示する範囲から乖離、という趣旨か
割戻金の控除 r56-58
需要者に支払われるものでなければならない(r57「また」の段落)という判示はよいが、
「実行期間より過去に作成された書面」「では足りない」(r57「そうすると」の段落)という判示は疑問。
価格が日経市況に連動している場合 r63-64
事実認定で退けられている。
価格決定権が商社にある場合 r59
事実認定で退けられている。
価格決定権が需要者にある場合 r64
事実認定で退けられている。
■■(セミナー資料ここまで)■■
令和6年3月27日 大口需要者向けレンゴー 上告不受理
令和6年3月27日 大口需要者向けトーモク 上告不受理
令和6年3月13日 東日本需要者向けサクラパックス等 上告不受理
令和5年11月24日 上告不受理(令和5年4月21日分)
王子コンテナー等
東京コンテナ工業
令和5年10月20日 東日本需要者向けコバシ等 東京高裁判決
東京高判令和5年10月20日・令和3年(行ケ)第9号〔東日本段ボールシート等コバシ等〕
shiraishi.icon
以下の認定があるが、特に気付いたことはなかった
意思の連絡の認定
各原告が意思の連絡に参加したことの認定
100%子会社に対する供給
令和5年6月16日 東日本需要者向け福野段ボール工業 東京高裁判決
東京高判令和5年6月16日・令和3年(行ケ)第10号〔東日本段ボールシート等福野段ボール工業〕
6月19日 更正決定(課徴金算定率)
shiraishi.icon
「一定の取引分野」、多摩談合、シール談合、タネ(76)
ハードコアカルテルでも競争変数左右の認定が必要(81〜86)
実行の始期 = 値上げ予定日(86〜88)
消費税相当額(88〜90)
過半理論(91〜93)
令和5年6月16日 東日本需要者向けサクラパックス等 東京高裁判決
shiraishi.icon「一定の取引分野」、多摩談合、シール談合、タネ(73〜74)
令和5年4月21日 東日本需要者向け王子コンテナー等 東京高裁判決
東京高判令和5年4月21日・令和3年(行ケ)第8号〔東日本段ボールシート等王子コンテナー等〕
吉田裁判官の「吉」は下が長い。
当裁判所の判断
99頁以下
意思の連絡
100-112(特に100-101、107-108)
売上額の認定
意見聴取手続から訴訟手続に至る諸事情を踏まえた認定
118-121
令和4年9月16日 大口需要者向け 東京高裁判決
東京高判令和4年9月16日・令和3年(行ケ)第12号〔大口需要者向け段ボールケース〕審決命令集69巻90頁
トーモク レンゴー 2社とも
54〜55頁 実行の始期(値上げ予定日)
64〜65頁 割戻金
両者とも上告・上告受理申立て
令和3年2月8日 審決
東日本地区所在需要者向け段ボールシート・段ボールケース
公取委審判審決令和3年2月8日・平成26年(判)第3号〔東日本地区需要者向け段ボールシート等〕審決集67巻138頁
審決取消訴訟
サクラパックスほか1名
レンゴーほか6名
王子コンテナーほか10名
コバシほか6名
福野段ボール工業
トーモクほか3名
東京コンテナ工業
大口需要者向け段ボールケース
公取委審判審決令和3年2月8日・平成26年(判)第139号〔大口需要者向け段ボールケース〕審決集67巻286頁
審決取消訴訟
レンゴー
トーモク
平成26年6月19日 段ボール
課徴金納付命令
11号排除措置命令事件
「特定段ボールシート」の定義(命令書末尾定義語表)で、東日本地区に交渉担当部署を有する需要者向けに限定。
12号排除措置命令事件
「特定段ボールケース」の定義(命令書末尾定義語表)で、東日本地区に交渉担当部署を有する需要者向けに限定。
13号排除措置命令事件
「特定ユーザー向け段ボールケース」の定義(命令書末尾定義語表)で、別表の「交渉窓口会社」と取り決めた価格で購入する別表の「特定ユーザー」と取引するものに限定。「交渉窓口会社」には非東日本所在のものもあり、地域で限定されていない。
違反行為甲の一部が途中で分離して違反行為乙に
「
(4)ア 12社は、平成23年10月17日、東京都中央区所在の紙パルプ会館において開催された三木会の会合の場を利用して、各社同様の引上げ方針を表明するなどして、特定段ボールケースの販売価格を現行価格から12パーセントないし13パーセント以上引き上げる旨合意した。
[略]
エ 前記アの合意後、遅くとも平成23年10月31日までに、前記アの合意の対象となる需要者を含む別表5の「特定ユーザー」欄記載の事業者(以下「特定ユーザー」という。)に対する段ボールケースの総販売金額の大部分を占めるレンゴー、王子コンテナー、日本トーカンパッケージ株式会社、株式会社トーモク及び森紙業株式会社の5社は、特定ユーザーについて、前記アの合意とは別に段ボールケースの販売価格を引き上げる旨を合意した。この結果、以後、特定ユーザーについては、事実上前記アの合意の対象外となった。
」
(12号排除措置命令書4-5頁)
上記エの新たな合意が、13号排除措置命令事件の違反行為だと思われる。
なお、13号排除措置命令書をみると、特定ユーザーの交渉窓口は非東日本もあるので、13号排除措置命令事件の対象となった取引の全てが12号排除措置命令事件の取引に含まれていたわけではないと思われる。上記引用部分でも、「前記アの合意の対象となる需要者を含む」という表現となっている。
13号排除措置命令事件の減免
(王子コンテナーと森紙業との関係について以下の一部を修正。ご指摘に感謝します。)
13号排除措置命令事件について、日本トーカンパッケージが「30%」と公表。
しかし、事業取りやめとは書かれていない王子コンテナーと森紙業が、違反者とされたにもかかわらず排除措置命令を免れている。
したがって、これらの2社は、減免公表はされていないが、調査開始日前の減免申請をしたのではないかとも思われる。
これらの2社は、いずれも課徴金納付命令を受けていない(発表資料別表3)。
これらの2社は、いずれも、王子ホールディングス(王子製紙)の完全子会社である。
王子製紙の平成22年度有価証券報告書(7頁)
王子ホールディングスの平成24年度有価証券報告書(9頁)
(王子ホールディングスは王子製紙が商号変更したもの→24年度4頁)
違反行為期間は平成23年10月〜平成24年6月。
減免申請は、平成24年6月から9月頃だと思われる(下記)。
(なお、王子コンテナーと森紙業は、いずれも、他の2事件で排除措置命令・課徴金納付命令を受けている。)
13号排除措置命令事件の調査開始日
13号排除措置命令書をみると、
「平成24年6月5日、公正取引委員会が平成26年(措)第11号及び第12号により措置を命じた事件において、5社の営業所等に独占禁止法第47条第1項第4号の規定に基づく立入検査を行ったところ、」
(13号排除措置命令書5頁)
となっており、平成24年6月5日の立入検査は13号排除措置命令事件の立入検査ではなかったことを公取委が認めている。
愛知電線が争ったVVF事件の排除措置命令書で、問題となった平成21年12月17日の立入検査について、「本件について」の立入検査であるとされているのと対照的である。
段ボール事件の場合、12号排除措置命令事件の違反行為が、途中で分離して13号排除措置命令事件の違反行為となったというのであり、3品種の立入検査にVVFが含まれるというより、12号の立入検査に13号が含まれるというほうが、相対的に簡単である可能性があるようにも思われるが、詳細な事実が定かではなく、問題の指摘にとどめる。
ともあれ、13号排除措置命令事件の調査開始日は更に後だということになる。
(平成24年9月19日に立入検査があった旨が報道されている。)