事例解説アウトライン2020-03-26
(東京地裁判決の段階)
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事案の概要
神奈川県LPガス協会が、切替営業を行った販売事業者の入会申込みを否決し、否決された入会希望者が損害賠償責任保険に加入できなくなることにより、8条3号に違反する、とされた排除措置命令の取消訴訟。
事件経緯
平成30年3月9日 排除措置命令
平成30年7月11日 執行停止申立て東京地裁決定(却下)
平成30年7月17日 執行停止申立て東京高裁決定
令和2年3月26日 東京地裁判決
控訴
8条
第八条 事業者団体は、次の各号のいずれかに該当する行為をしてはならない。
一 一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。
二 第六条に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。
三 一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。
四 構成事業者(事業者団体の構成員である事業者をいう。以下同じ。)の機能又は活動を不当に制限すること。
五 事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすること。
親分=1号
子分
主に他者排除=3号
主に競争停止=4号
変化球=5号
使わない=2号
行為要件充足行為については、争点にはなっていない模様。
反競争性(=排除効果)(=市場閉鎖効果)18-27
基本的な基準
「当該事業者団体に加入しなければ参入等をすることが一般に困難な状況があれば」足りる。19
理由 18-19
法定刑の違い
参入等の断念が実際に起きてから排除措置命令をしても無意味
市場画定(一定の事業分野)19-20
神奈川県内のLPガス販売事業
理由について??19
個別保険、協会団体保険、全農団体保険 20
個別保険と全農団体保険は困難 21
さらに、21-24
小規模の販売事業者が多く、他の都道府県の協会は困難 21
24-25は、どちらかというと、因果関係的な論点
31にも同様の議論
shiraishi.icon何を基準に論ずるか、という問題
故意過失・認識の有無
是正のための規定であり要件でない 25
認識あった 26-27
正当化理由 27
一般論 27-28
公取委:正当化理由が規定されておらず検討の余地なしと主張
判決は公取委の主張を退け、正当化理由の成立の余地を一般論としては認めた
[1条の]目的に照らして、専ら公正な競争秩序維持の見地からみて正当な理由がある場合には、たとえ外形上現在又は将来の事業者の数を制限するものであったとしても、当該行為は不当なものとはいえないとして独禁法8条3号に当たらないと解される。
本件への当てはめ 28-30
結論で「会員の顧客の奪取に繋がる切替営業を防ぐ意図の下に」としている。
shiraishi.iconこれは、意図を要件とするものでなく、正当化理由の成立を否定するための理由付けの内部で、その結論に説得力を持たせるためのもの、と理解すべき。
「解消済みの違反行為」に対する排除措置命令
法的には、8条の2第2項が準用する7条2項の「特に必要があると認めるとき」に該当するかどうかの問題
公取委の裁量の対象。
排除措置命令書案の主文から規程の条文の削除を求める項と研修を求める項の削除の経緯 33
コメント
Dさん
実際には否決された者は保険に加入できた
排除効果を認定できるか
他への波及効果(抑止効果)
このような場合、民事訴訟ならどうか。
損害がない?
利益侵害がないのでは?
正当化理由
LPガス・・消費者被害が多い業界
証拠の出る事案であれば、あり得る主張ではないか。
特商法に絞っている・・絞り過ぎ?
他にも2者いた
実際に問題になりやすいのは、入会拒否より、退会ではないか。
これまで、悪質な業者を退会させた証拠があれば、説明できたのではないか。
Eさん
故意過失は要件でない・・酷な場合もあり得るのでは?
他の事業者の行為も考慮(流通取引慣行ガイドライン)
→ いつの間にか変わることがあり得る
→ 酷な場合があり得る
→ 排除型私的独占なら課徴金もあり得る
Fさん
8条3号は、どこが行為要件でどこが弊害要件(効果要件)か
shiraishi.icon私的独占2条5項の「排除」
因果関係的な部分
保険会社の行為は、どういう位置づけになるか
意図の有無が意味を持つか?
Gさん
事業者団体の行為と、有力な構成事業者の行為とが、並行している場合