ハードコアカルテル以外の競争停止(基本解説セミナー資料)
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2025-05 公正取引協会セミナー
見取り図
https://stjp.sakura.ne.jp/_presen/keynote/IllegalConduct_withGuidelines.jpeg
本日の対象範囲
水平的制限行為による競争停止のうち、右の白い部分
非ハードコアカルテル (水平的業務提携)
2条6項「不当な取引制限」
それ以外による競争停止
2条5項「支配型私的独占」
2条9項「不公正な取引方法」
条文について
共通する基本的な考え方が大事
法定3類型のいずれでも大差ない。
水平的業務提携は課徴金の対象外(隠れ蓑を除く)
法執行は、確約認定またはそれ未満が主流であり、課徴金の確率が低い以上、私的独占と不公正な取引方法の区別を言っても大きな意味はない。
共通する基本的な考え方
行為要件
弊害要件
市場(市場画定)
需要者からみて選択肢となる供給者の範囲
需要者はどのような者か、が重要
反競争性あり(=牽制力なし)
https://gyazo.com/237cb810ae2edee94cac46d7f2a52b9c
内発的牽制力
業務提携の場合の共通化割合など
他の供給者による牽制力
既存供給者からの
潜在的新規参入者からの
隣接市場からの
需要者による牽制力
正当化理由なし
正当化理由があるとされる条件
目的が正当
手段が正当
因果関係
寄与度
非ハードコアカルテル(水平的業務提携)
例
共同購入
OEM供給
物流共同化
相談事例集に載る(毎年6月頃)
グリーンガイドライン第1の主な対象
1つのページにまとめて整理しておきました。
水平型業務提携に関する基本的な考え方
平成26年度相談事例8
「全部盛り」なので説明に好適な事例
https://gyazo.com/bafde6d5ed045b87410cb41b694c29c8
それ以外による競争停止
非水平・・取引のない者に対する制限を含む
「支配」「拘束」「制限」は同じ意味
相手方の意思決定を左右
競争停止と他者排除
https://gyazo.com/9c106e90dd43a1990ddaffbeada0f583
弊害要件
反競争性
「価格維持効果」と言い換え
流通取引慣行ガイドライン
「価格維持効果が生じる場合」とは,非価格制限行為により,当該行為の相手方とその競争者間の競争が妨げられ,当該行為の相手方がその意思で価格をある程度自由に左右し,当該商品の価格を維持し又は引き上げることができるような状態をもたらすおそれが生じる場合をいう。
正当化理由
フリーライダー対応
安全性確保
具体例
価格制限
価格維持効果があると見られやすい。
販売地域制限
「受動的販売の制限」があると、価格維持効果があると見られやすい。
販売方法制限
正当化理由が議論されやすく、「それなりの合理的な理由」があればよいという論調も強い。
いわゆる「指定価格制度」
企業による「制度」
報道の一例
2024年3月(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC21ADD0R21C23A2000000/
2025年5月(日経)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC23AB70T20C25A4000000/
背景1
直営店なら小売価格を統一しても問題ないのに非直営店なら小売価格を統一すると独禁法違反と言われるのはなぜか
背景2
価格制限は、通常、競争への影響を与えるとされている(通常は弊害要件を満たす)
流通取引慣行ガイドライン第1部第1の2(7)
なお,次のような場合であって,事業者の直接の取引先事業者が単なる取次ぎとして機能しており,実質的にみて当該事業者が販売していると認められる場合には,当該事業者が当該取引先事業者に対して価格を指示しても,通常,違法とはならない。
① 委託販売の場合であって,受託者は,受託商品の保管,代金回収等についての善良な管理者としての注意義務の範囲を超えて商品が滅失・毀損した場合や商品が売れ残った場合の危険負担を負うことはないなど,当該取引が委託者の危険負担と計算において行われている場合
② メーカーと小売業者(又はユーザー)との間で直接価格について交渉し,納入価格が決定される取引において,卸売業者に対し,その価格で当該小売業者(又はユーザー)に納入するよう指示する場合であって,当該卸売業者が物流及び代金回収の責任を負い,その履行に対する手数料分を受け取ることとなっている場合など,実質的にみて当該メーカーが販売していると認められる場合
様々な形態
上記①:委託販売で、最終需要者は取引先(非直営店)が見付けてくる
上記②:最終需要者は自身(「事業者」)が見付けてくる
その他:最終需要者は取引先(非直営店)が見付けてくるが、委託販売ではない
平成28年度相談事例1
令和元年度相談事例5
これを独禁法違反なしとする理由付け
そのような取引先(非直営店)は「競争」(2条4項で定義)をしている者と見ない
そのような取引先(非直営店)は2条9項4号などの「相手方」と見ない
取引先(非直営店)についてそのような法的評価を受けるためには、自身(「事業者」)がどれほどの「危険負担」をする必要があるか
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