社会保障・税一体改革
別称 : 社会保障と税の一体改革
近年の税制改革で最も大きなもの
消費税率の 5 % から 8 %、さらに 10 % への引上げを含む
消費税の創設を含む抜本改革や消費税率の 5 % への引上げを含む税制改革は、勤労者を中心とする税負担の累増感を踏まえた所得税減税とのパッケージで行われた
一方で、社会保障・税一体改革は、税収の使途である社会保障や財政健全化のあり方とも密接に関連したもの
これまで、社会保障改革の全体像や必要な財源を確保するための消費税を含む税制抜本改革の基本方針が示されると共に、その具体化のための検討が進められてきました。
平成 24 年 8 月 22 日に議員立法により成立した社会保障改革推進法にもとづき、有識者による社会保障制度改革国民会議が行われてきましたが、平成 25 年 8 月 6 日には、報告書がとりまとめられました。 その審議の結果等を踏まえて、平成 25 年第 185 回国会において、持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案を提出、12 月 5 日に成立し、翌年の通常国会以降随時、関連の個別法改正法案が提出・成立してきました。 その後、2019 年 10 月の消費税率引き上げを持って社会保障と税の一体改革は一旦の区切りを迎えました。
▲ 「社会保障・税一体改革 (厚生労働省)」 より
社会保障・税一体改革に至る経緯
も参考に
社会保障制度と税制のあり方に関する議論は、2004 年 (平成 16 年) に行われた年金制度改革とそれに関連する税制改正に端を発する
具体的には、平成 16 年度税制改正大綱や国民年金法等の一部を改正する法律 (平成十六年法律第百四号) において、年金制度を持続可能なものとする等の観点から、以下の流れで進めるとされた
2004 年度 (平成 16 年度) に年金課税の適正化、
2005 年度 (平成 17 年度)・2006 年度 (平成 18 年度) にいわゆる恒久的減税 (定率減税) の縮減・廃止、
2006 年度 (平成 18 年度) までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行った後、
2007 年度 (平成 19 年度) を目途に、消費税を含む抜本的税制改革を実現した上で、
基礎年金国庫負担割合を 2009 年度 (平成 21 年度) までに段階的に 2 分の 1 へ引き上げていく
2008 年 (平成 20 年) : 社会保障国民会議
2009 年 (平成 21 年) : 安心社会実現会議
社会保障・税一体改革の実現
2008 年 (平成 20 年) 9 月にリーマン・ショックが発生 → 経済情勢が不安定に
当面は世界経済の混乱から国民生活を守り、景気回復を最優先で図る一方、中長期的には国民の安心強化のための社会保障安定財源を確保していく方針が示された
「持続可能な社会保障構築とその安定財源確保に向けた 「中期プログラム」」 (2008 年 (平成 20 年) 12 月に閣議決定)
平成 21 年度税制改正法では、上記方針を踏まえ、附則第 104 条において、「経済状況を好転させることを前提として、遅滞なく、かつ、段階的に消費税を含む税制の抜本的な改革を行うため、平成 23 年度までに必要な法制上の措置を講ずるものとする」 という消費税を含む税制抜本改革の方向性が法制化された
2011 年 (平成 23 年) 6 月に社会保障・税一体改革成案の取りまとめ
2010 年代半ばまでに段階的に消費税率を 10 % まで引き上げる等の方針が盛り込まれた
社会保障の安定財源確保の基本的枠組みとして、「国民が広く受益する社会保障の費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合う観点などから、社会保障給付に要する公費負担の費用は、消費税収 (国・地方) を主要な財源として確保する」 ことが明記された
その上で、消費税収 (国・地方) については、その使途を、従来の高齢者 3 経費 (基礎年金、老人医療、介護) から、いわゆる社会保障 4 経費 (年金、医療、介護、少子化) へ拡充することとされた
なお、消費税率引上げ分の国と地方の税収配分については、地方単独事業を含めた社会保障給付の全体像の総合的な整理を踏まえ、社会保障給付における国と地方の役割分担に応じて配分することとされた
その後、消費税率が以下のように引き上げられた
2014 年 (平成 26 年) 4 月に 8 %
2019 年 (令和元年) 10 月に 10 %
飲食料品 (酒類・外食を除く) 等を対象として 8 % の軽減税率を実施
関連
社会保障・税一体改革大綱
参考文献
令和 5 年 6 月 わが国税制の現状と課題 ―令和時代の構造変化と税制のあり方―
社会保障・税一体改革 (厚生労働省)