静、生きとう
薬で眠らされとったらしく、目を覚ますと夕方やった。
気分は少しマシになっとった。
僕を迎えに来てくれたんは、静やった。
僕は静を抱きしめて、また泣いた。
「遥も甘えん坊さんになってしもたなぁ?」
静はほう言うて、僕の背中をなでた。
僕は処方された薬を袋から取り出して、手のひらに乗せて静に見せた。
「おそろいやね」
静は銀色のシートを指でなぞりながら、少し悲しそうに笑って言うた。
あと一分、と静が僕を引き留めた、あの日見たのと同じ名前の薬やった。 静は心配して、僕を部屋まで送ってくれた。
僕は一杯だけお茶に付き合うてほしいと言うて、静に部屋に上がってもうた。
座布団を引っ張り出して座った静の小さな背中を、僕は強く抱きしめた。
「静、生きとう」
僕は静の上着を脱がせて、シャツに手をかけた。
「自分で脱ぐよ」
静は小さな声で言うて、シャツを脱いだ。
僕は静をその場に寝かせた。
「ごめん」
僕のこぼした涙が、静の顔にポタポタと落ちた。
「ええよ」
静は僕の涙をぬぐって、微笑んだ。
静、温かいな。生きとんな。