セクシャルな意味で言うてへんしぃ?
東雲さんが言うと、一番に和が目を輝かせた。
ほうか、10月いうたら東雲さんの誕生日やな。東雲さん、毎年自腹で誕生会するもんなぁ。 「行く行く!行きたい!めっちゃ行く!」
両手を胸の前でグーにした和と向き合うて、嬉しそうな笑顔で東雲さんが言うた。
和はうんうんと無邪気にうなずいとった。
和も笑とらんとなんとか言わな。
「東雲さん、上品な顔で下品なこと言うんはやめてくださいよ」
東雲さんをたしなめるんは僕の役目なんよなぁ。
別に僕と二人のときやったらええけど、和の前で下ネタはなぁ。 いくら僕が和を女扱いしとらんいうても、やっぱり女の子やけんなぁ。
エビちゃんもほう言うたけど、東雲さんはまったく反省しとらんみたいやった。
「別にぃ?セクシャルな意味で言うてへんしぃ?」
ほんなエロい目つきで言うても説得力ゼロやけんね?
「それはそう」
僕の言葉に東雲さんはセンター分けの長い前髪をかき上げてうなずいた。
エビちゃんは僕らのやり取りを見て、深いため息をついた。
「二人は何を揉めよん?」
キョトンとした顔で和が言うもんやけん、僕らは力が抜けてしもた。
和が気にしとらんのやったら、まあ、ええか……。