みんな感じええし、ええとこやろ?
静と遥と和の3人は、静を真ん中に並んで座っていた。
静は結局遥が淹れたお茶を飲み、和は早速お菓子の袋を開けていた。 「おまえ前の会社も運送会社だったん?」
和に訊かれて静は「うん」とうなずいた。
「俺は高校卒業してからもうずっとここや。みんな感じええし、ええとこやろ?」
「感じ悪いんは和くらいやな」
和菓子のバラエティパックの、小さな最中が遥のお気に入りのようだった。 「俺はめちゃくちゃ感じええっしょ?みんなに愛されとうし?」
和が異議を唱えると、遥は声を出して笑った。
「和はみんなのアイドルやけんな。ほなけどエビちゃんというライバルも来たしなぁ」 遥がそう言うと、和は「はぁーん?」と不機嫌な声を出した。
「東雲さんも、エビちゃんは真面目で仕事ができてかいらしなぁって言うとったで」
「えっ、東雲さんが?」
遥の言葉に和が敏感に反応した。
遥がそう言うのを聞くなり、和は開いていた脚を閉じた。
その様子を見ていた静はおかしくなって、笑い出してしまった。
「エビこらおまえ!ちょっと東雲さんにかわいがられとうからって!」
今にもつかみかからんばかりの和だったが、静は楽しそうに笑っていた。
「東雲さんが一番かわいがっとうのは、神田橋さんじゃよ?」
静がそう言い返すと、和は顔を赤くして固まってしまった。
「エビちゃんも和の扱いがわかってきたやん」
二つ目の最中を口に入れた遥がニヤニヤしながら言った。