どういう反応やそれ!?
「お疲れ様です……あっ、神田橋さん」
乗務員休憩室のドアを開けた静は、中にいた和を見るなりそっとドアを閉じた。 「おい!どういう反応やそれ!?」
内側から思い切りドアを開けて、和が怒鳴った。
「ほなって……」
うつむく静の手には、お菓子がたくさん入った大きな買い物袋があった。 「おっ、ええもん持っとうやん」
パッと顔を輝かせる和と対照的に、静は悲しそうな顔をした。
「神田橋さん、一人で全部食べてしまうんやもん」
消え入りそうな声で、静が言った。
「人聞きの悪いことを言うな!ちょっとは残しとうわ!」
和がそう言うと、静は何も言い返せずにしゅんとしてしまった。
「和、エビちゃんをいじめるんはやめえや」
そう声がして静が振り返ると、一仕事終えた遥が立っていた。
「別にいじめとらんし?」
「ごめんよエビちゃん、和も悪気はないんよ」
遥がそう言うと、静は「わかりました」と答えた。
一方、放置された和は不機嫌そうだった。
「せっかくお菓子持ってきてくれたんやし、お茶でも飲んでいったら?」
「ええんですか?」
遥の誘いに、静は遥を見て、それから和を見て困ったような顔をした。
「なんでほんな顔するんな、入っていけよ」
和に言われて、静はそろそろと休憩室に入った。
「僕がおいしいお茶淹れたあわ」
静が椅子に座るのを見て、遥が紙コップを手に取った。
「俺が淹れたりますよ!」
するとなぜか負けじと和がティーバッグを出してきた。
「いや、心配なけん僕が淹れるわ」
「心配ってなんスか?お茶くらい俺が淹れますよぉ!」
ポットの前で小競り合いをする遥と和を見て、静はやっと笑顔になった。
静が言うと、遥はにこやかに「ほうやで」と答えた。
「和んでへんで助けえや!」
遥にヘッドロックをかけられている和が怒鳴ったが、静の笑いを誘うだけだった。