リチャード・ローティ
リチャード・ローティ『偶然性・アイロニー・連帯――リベラル・ユートピアの可能性』(斎藤純一他 訳、岩波書店、2000年) ローティは冒頭で「公共的なものと私的なものとを統一する理論への要求を捨て去り、自己創造の要求と人間の連帯の要求とを、互いに同等ではあるが永遠に共約不可能なものとみなすことに満足すれば、一体どういうことになるのかを明らかにすることが、本書の試みである。」と述べる。今までの政治思想が公的なものと私的なものを接合しようとしていたのに対し、ローティはその両者を分離する態度を提示。すなわち「アイロニー」である。アイニローとは「私的にはXが真理だと信じるが、世の中にはさまざまな価値観のひとがいることを認め、公的にはXが真理だと主張しないで措く」という態度のこと。
東浩紀が以下でこの「アイロニー」と宮台真司が用いる「あえて」を簡潔に峻別している。