気分一致効果
mood congruency effect
気分一致効果
社会的相互作用つまり人と人との関わりには、感情状態が大きく影響する(Forgas, 2002)。解釈や評価は、その時の気分に一致するような方向で行われる(Forgas & Bower, 1987)。これを、気分一致効果(mood congruency effect)と呼ぶ。
私たちが何らかの判断を行う時には、自らの感情状態を手がかりにするために怒るものである。コミュニケーションを取る前にポジティブな感情状態であれば、相手の発話をポジティブにとらえ、逆に、ネガティブな感情状態であれば、相手の発話をネガティブにとらえる傾向がある。
感情は情報の一種である
シュヴァルツとクロア'Schwarz & Clore, 1983)やシュヴァルツとブレス(Schearz & Bless, 1991)は、このように自らの感情状態を判断の手がかりにするのは、感情が情報として機能しているためと見なしている。私たちは、自分がもともと怒っていたために相手の言葉を悪く受け取ったのか、それとも、相手が嫌なことを言ったために自分が怒ったのかを区別することが苦手である。そのため、自分が怒っているのは、相手が嫌なことを言ったせいだと感じてしまいがちである。
自分が好きではない人の言った言葉は悪く取る
話し手と聞き手の人間関係のあり方も、意味解釈を左右する。この点に関して、先の調査では「自分が好きではない人の言った言葉は悪く取る」といった報告が見られた。人間関係が良好であれば、「相手が自分に対して悪意のある発言をするはずがない」という前提に立ち、相手が妙なことを言っていると感じた場合には、「聞き違いか?」と考え、相手に確かめる行動を起こす。しかし関係が悪化していれば、相手が自分に対して否定的な発言をしたとしても不思議ではなく、たとえ誤解であったとしても、否定的な解釈のまま受け取る可能性が高くなる。このような場合、誤解はただされる機会を失う。
出典