構造化面接
構造化面接を実施する
仕切り越しのオーディション
p249.2
p254.5
「演奏する姿はぱっとしなくても、演奏そのものは素晴らしい演奏家もいる。演奏するときに苦しそうな顔をしても、それが音に現れない演奏家もいる。目に見えるものと耳に聞こえる音の間には常にこうしたギャップがある。
目で聴いていたわ
★p255.2
メトロポリタン歌劇場で主席ホルンを務めるジュリー・ランズマンは、演奏者の口の位置が気になったことがあると言う。「マウスピースがおかしな位置にあれば、そんな姿勢で吹けるわけがないと思ったりする。そんなふうな思いが生じる可能性はいくらでもある。ホルン奏者の中にはブラスの楽器を使う人もいれば、ニッケルシルバーの楽器を使う人もいる。使っているホルンを見れば、その人がどこの出身で、どんな先生について、学校はどこといったことがわかる。そういう経歴も人の意見を左右するの。仕切りなしのオーディションで審査したことがあるけれど、偏見があったことは否定できない。目で聴いていたわ。目で見たものが判断に影響しないようにすることはできない。本当に音楽を聴くには、耳と心を使わないとだめね」
最初の2秒が奇跡を生む
p256.1
★p257.1
「芸術作品を鑑定するときは作品に黒い布をかけておいてもらい、私が部屋に入るなり覆いを取ってもらった。そうすると、そこにある作品に完全に集中できる」とトマス・ホービングは言う。「メトロポリタン美術館では秘書や学芸員に頼んで、購入を考えている作品を意外な場所に飾ってもらった。たとえばコートをかけるクローゼットの中。ドアを開けるとそこに作品がある。その作品に好印象を持つこともあれば、それまできづかなかった欠点がふいに見えることもある」
p258.3
耳だけで聴く前は、その演奏のすばらしさにみんな気づかなかった。仕切りのおかげで純粋な瞬時の認知が可能となり、小さな奇跡が起きたのだ。最初の2秒を大事にすれば、いつでも起きる小さな奇跡だ。そうして彼らは、ランズマンの本当の力を知った。
出典