手段目標分析
Means-Ends Analysis
AI で研究されている知的振る舞いの重要な観点として「目標ベース」の問題解決がある。これは、望ましい目標へと導く一連の「行動」を見つけ出すことと問題の解法が等価であるようなフレームワークである。目標探索システムは、環境からの情報を受け取る入力(感覚)チャネルと環境へ情報を送る出力(駆動)チャネルによって外界と接続されている。さらに、外界の状態に関する入力情報や行動に関する出力情報を格納する何らかのメモリを持つ。目標達成能力は、特定の状態変化と特定の行動を結びつける方法に依存する。探索とは、ある状態から目的の状態への変化をもたらす一連の行動を発見し組み立てるプロセスである。
中間状態や制約の理解が不可欠。
目標状態の手前に買い目標を設定し、現在の状態と買い目標状態との差を小さくするように状態遷移をすすめていく方法
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ニューウェルとサイモンはこういう問題を回避するための解決方法を提案し、それを手段─目標分析と名付けた。これは次のようなステップからなるヒューリスティクスである。
① 現状と目標状態との間にある最も大きな差を見つけ出す(なければ成功)
② 差を消去する
③ 差を消去するオペレータを探す(なければ失敗)
④ そのオペレータが今使えるかをチェックする(使えれば使う)
⑤ そのオペレータを使える状態をサブゴールとして②に戻る
ポイントは、見通しを立ててサブゴールを作るという点にある。つまりオペレータ適用制約のため、使いたいオペレータが使えないという時に、そのオペレータを使える状態を副次的なゴール=サブゴールとするというものである。
ニューウェルたちはこの手段─目標分析を組み込んだ、一般問題解決器というプログラムを作成した。そしてこの動作と人間の解き方の比較を行い、それがよく似ていること、つまり人がこのストラテジーにしたがって問題を解いていることを明らかにした。
Newell, A., & Simon, H. A. (1972). Human problem solving(人間の問題解決).
この過程で、彼らは人間のデータを得るために、プロトコル法という新しいデータ取得方法も作り出した。これは問題解決中に考えていることをそのまま話してもらうというものである。この時の発話記録、そこでのオペレータ選択を組にして、同じ状況でのプログラムの動きを比較するわけである。この方法は問題解決研究を飛躍的に前進させた。