感覚転移
「感情転移」と市場調査の罠
p162.5
p164.4 白いマーガリン、黄色くなったマーガリン
そして「感覚転移」の問題がある。二〇世紀にマーケティング分野で活躍した偉大な人物ルイス・チェスキンが提案した概念だ。彼は二〇世紀の初期にウクライナで生まれ、子どもの頃にアメリカに移住した。消費者がスーパーやデパートで買う製品を評価するとき、製品のパッケージに対して抱いた感情や印象を、知らずしらず製品そのものに転移させるとチェスキンは確信した。要するに、無意識のレベルではほとんどの人がパッケージと製品を区別しないと考えた。消費者にとって、製品のパッケージと中身は一体なのだ。
★p165.4 アルミ箔で包まれたインペリアル。マーガリン
『アルミ箔はあったほうがいいか?』などと聞いてはいけない。決まって『分からない』とか『アルミ箔なんてどうでもいい』という答えしか返ってこないものだ。どっちがおいしいかだけ聞く。そんなうに間接的に尋ねると、本当の動機が見えてくるものだ
p168.3 おばあちゃんが作ってたのとそっくりな、ガラス瓶入りの桃
レアはクラシコのトマトソースの瓶を手に取って、容器の形にも意味があることを教えてくれた。「デルモンテが缶ではなくガラス瓶に桃を詰めたら、『おばあちゃんが作ってたのとそっくり』と言う人が何人もいた。ガラス瓶入りの桃のほうがおいしいという評価が出た。アイスクリームも四角い容器より筒型の容器に入れたほうが売れる。そのほうがおいしそうだからと、価格が五セントや10セント高くなっても喜んで買ってくれる。パッケージの効果だけなのに」
コカ・コーラの失敗は、ペプシにシェアを奪われた原因がすべて製品にあると考えた点にある。コークやペプシの売れ行きはブランドイメージに左右されやすい。彼らはそこを見落として、製品そのものを変えることしか考えなかった。
出典