問題表象
問題表象とは、与えられた問題中の情報を有機的に組織化し、それがどのような状況について述べているのかを心の中に表したものである
この問題表象ができあがった後に、探索やプランなどを用いた問題解決が行われる。
関連
問題理解がうまくいかず問題表象をうまく作れない例題
分かりにくい印象を持つ性質の問題。問題をうまく理解できないので解く作業に入れない。
問題理解と表象が困難な例
問題解決が単にいろいろな操作をしながら(つまりオペレータを使いながら)、探索をしていくだけではないことを示している。問題を解くためには、問題を解決可能な形で表象すること、つまり問題理解をすることがとても重要なのである( 43)。ここでは問題理解と探索をわかりやすく書いたが、より複雑な問題では、問題理解と探索は何度も往復する相互作用的なプロセスであることはいうまでもない。
学校などで出題される定型問題
学校で出るような定型的な問題については、問題スキーマと呼ばれる、問題表象を作り出す鋳型となるような知識が存在している。これを用いることで、あまり深く考えなくても問題解決が可能になる。
出典
(43)『問題解決の心理学』
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料理が下手な人
砂糖と塩が打ち消し合う関係
甘すぎたら塩を入れる
文部科学省の鋳型
国語の読解問題、作者自身が解いたら満点取れるのか!?
説明責任を果たせない答え
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よい問題表現にするためのガイドライン2014/6/6
社内での問題表現の質にバラツキがあり、大きな課題であると感じています。
問題を捉えるスキルのバラツキを抑えるためにガイドラインが必要だと感じています。
素案を提示します。
業務知識がなくとも良い問題表現を引き出せるように質問と解答の形で示します。
質問「なぜ問題表現の質を高める必要があるのか?」
問題を捉える質が解決策の質を決めるからです。
ひどい問題の表し方をすると、解決すべき悩みは不明瞭であるため、対応を行ったとしても、多くの場合は問題は解消されないままになります。コストは大きくかかり、問題を表明した人は苦痛が取り除かれず、解決策の実行者はプレッシャーと苦痛を味わいつづけることになります。なんども再解決の依頼をし再依頼されつづけるのは双方にとって非常にストレスがかかります。
質問「問題表現の質を高めるとどのような好ましい結果が期待できるのか?」
・解決に向けて複数人、複数部門での連携が取りやすくなる
・問題解決の難易度、コストが下がる
・問題解決までのスピードが高まる
・ネガティブな結果の再発が防がれる
質問「どういう観点で問題表現を確認すればよいか」
よい問題表現になっているかの確認リストを示します。
・完全な短文になっていますか(名詞+動詞、または主語+動詞で表現されている)
・明らかによくないことを表していますか
・変えられる事実ですか
・問題の反対が明瞭で起こりえますか
・重要ですか
質問「悪い問題表現の例と、直し方、直した結果が知りたい」
|悪い問題の表現|理由|どのように修正するか|よい表現の問題|
|----|----|----|----|
|クレーム|不完全な文である|完全な文にする|クレームが前月比10件増えている|
|クライアントと時差がある|解決不可能である|解決できる表現にする|クライアントと連絡がとれない営業時間帯がある|
|悪い評判が立っている|実際にあるかが変わらない|事実実態を表す|満足度評価が月ごとに悪化している|
|午後19時までしか担当者がいない|何に困っているのかが不明である|困ることを明らかにする|担当者が退社した19時以降に担当者の業務が発生している|
|情報共有化のシステムがない|システムがあったら解決するという解決策を想定している|ないという否定語ではなく、事実実態を表す|部門間の情報が重複している|
|クレームが発生して売上が減少した|原因と結果が含まれている|二つに分ける|クレームが発生した。売上が減少した|
質問「問題をもっと理解するためにはどのような質問が効果的か」
・問題はなんですか?
例「現在の仕事量に対してリソースが不足している」
・なぜその問題は好ましくないのですか?
例「組織のあらゆる箇所で同じ問題にぶち当たっているから」
・どのようなネガティブな結果をもたらしているのですか?
例「高コストな組織体制となっている」
・何のためにその問題を我慢しているのですか?
※ある種の要望を満たすために問題を我慢し続けるケースが多いため、この質問をすることで解決策を実施しても守りつづけないといけない要望を引き出すことができます。
例「短期的な成果を着実に上げるために我慢している」
・問題によって諦めていることは何ですか?
例「長期的な利益を上げることに妥協している」
・問題を引き起こしている行動は何ですか?
例「目の前の業務に対応する行動をとることで問題を引き起こしている」
・問題はどのようなジレンマによって生じていますか?
例「目の前の業務に対応することと長い目を見た仕事のどちらをするべきかのジレンマによって生じている」
長年解明されていない問題に取り組む最良の方法は、知っていることをすべて捨て去り、ゼロから始めることだ。信頼度の解読については、それが最もよい方法だと私は考えた。もちろん、ゼロから始めるのならば、仲間と取り組むほうが、成果が得られる可能性は高い。新しい課題に取りかかるときには、過去の経験に基づく観点や手法を誰でも否応なしに持ち込んでしまう。私は心理学者として養成された。そのため、たとえ経済学者やコンピューター科学者のように考えようと努力したところで、その分野の教育を受けた人ほどうまくいくはずはない。