スタック・イン・ザ・ミドル
その前に、まず今回は一兎戦略を再検討し、トレードオフについて立ち入って考えてみよう。トレードオフ関係にある2つの目的を同時に追求しようとして失敗することは、競争戦略論では「スタック・イン・ザ・ミドル」と呼ばれる。M. ポーターが提案する競争の基本戦略にはコスト・リーダーシップと差別化があるが、コストと差別化の2つの価値を追求しようとすると、「スタック・イン・ザ・ミドル」に陥り、うまくいかない。なぜなら、戦略遂行に必要な資源、組織体制、人々の意識が、2つの基本戦略では異なるからだといわれる。ゆえにポーターも、「スタック・イン・ザ・ミドル」に陥らないように、どちらか一方に全力投球すべしと主張する。
「二兎追うものは一兎をも得ず」はなぜか
両立が困難という話で、困難さを乗り越えれば価格戦略が可能となる差別化が行える。