「まちづくり」から「まち直し」へ/パタンランゲージと「修復の原理」
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目次
修復
パタンランゲージと修復の原理
パタンという図解化
1.パタンの原理
2.参加の原理
3.小さくつくっていく原理
4.診断の原理
5.調整の原理
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修復
ひとつの転換となるヒントは、「修復」という考え方ではないかと思います。「修復」によるまちづくり、つまり、まちづくりの基本を「リフォーム」にするべきだと思います。
必要なのは「やる気」です。共有のトトロの庭をみんなで持とうという動機が、一致合意できれば良いのです。つまり、「修復」には、悪いところはどこかをはっきりさせて、全員で合意することが不可欠なのです。しかし、 これを実践しようとすると、そう簡単ではないでしょう。
どこを?(その「修復」ポイントの場所)、いつ?、どのように?(「修復」プログラムのたて方)、誰が?(その主体者は?)について、 はっきりした合意 がなければ、「まち直し」は実施できません。修復によるまちづくり、「 まち直し」にとっての、まず第一歩が 合意形成 なのです。
パタンランゲージと修復の原理
パタンランゲージとは、誰でもが形を生み出すときに無意識に使っている創造力を、意識的に利用しようという試みのひとつでした。
形を生み出す能力を、特殊な専門家の才能と見なさず、誰でもが、その能力を意識的に利用できる力を持っている、手に入れることができるという考えです。その意味では、最初から素人もデザインに参加できるという前提で話が始まっているのです。
「パタン」という言葉が、一番学術的に取り上げられているのは、「 パタン認識」という、脳が視覚的に反応する現象の説明の際でしょう。「パタン認識」というのは、 形を区別するルール のことです。
例えば、猫と犬の区別をコンピューターに視覚的に区別させますと、かなり複雑なプロセスで答えを出さざるをえません。人間は、2歳の子供でも即時に、簡単にその区別ができます。パタン化は、人間の持っている優れた本源的能力のひとつです。実は、このパタン認識が、アレグザンダーの最初の出発点なのです。
「形の合成ノート」の本の中で一番大切なポイントは「図解化」です。それを、今、私たちは「パタン」と呼んでいます。パタンは互いに作用し、衝突する小さな力の塊、つまり、問題点を解決することができる相関性を、形で表現したものです。それぞれのパタンは、そこに関わる力以外には、他の力に影響されない独立したものでなければなりません。この形の相関性の表現であるパタンを、ひとつずつ具体的に実現し、結びつけていけば、様々なデザインを創り出すことができます。(中略) パタンはお互いに独立しているわけですから、そのひとつひとつを切り離して検討することもできるし、改良を加えることもできます。ゆっくり少しずつ進歩や改良を蓄積していくことも可能です。もっと言えば、パタンは抽象的かつ独創性を持っているから、同じパタンの集合体から自由に選択して、無限に多様なデザインを生み出すことができるわけです。
修復の原理
パタンに良い悪いがあるということは、景観の良い悪いが、客観的に存在することを示唆しているからです。「悪いところを直し、良いところを守る」が修復の基本的定義ですから、 パタンランゲージの考え方には、必然的に悪い部分を、良く修復するという考えにたどり着くのです。
パタンの構造
パタンランゲージを用いれば、セミラチス構造の都市空間をイメージ上で構築できる
盈進学園東野高等学校プロジェクトを通して
パタンランゲージだけではリアルな「形」は生まれてきません。敷地という特殊な条件と手をつなぐことで、リアルな「形」となることが明確になるのです。それもユーザーと一緒に(原寸設計して)行うことで発見できるのです。この原寸設計というワークショップによって、敷地の上でパタンランゲージが現実的な形となって現われてきます。この段階までは、学校側で購入した現実の敷地である土地には一切の関わりなく、パタンランゲージは開発されてきました。
どのような設計行為も建設行為についても、それは<中心(センター)>を創造する行為であり、その<中心(センター)>自身は、そこにすでに存在する他の<中心(センター)>を補い助けるように配しなければならない、という理論です。それによって初めて、いきいきとした空間が創出されるという、パタンランゲージの目標をさらに深めたものです。