ST-40
#装置解説
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Delivering fusion energy and HTS magnet technology - Tokamak Energy
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ST-40は、イギリスの核融合企業トカマク・エナジー(Tokamak Energy)が開発している球状トカマク型の核融合実験装置です。球状トカマクは、伝統的なトカマク装置と異なり、磁場の形状をよりコンパクトに保ちながらも高いプラズマ安定性と高いプラズマ圧力を達成しやすいのが特徴です。この構造により、より小型かつ効率的な核融合装置の開発が期待されています。
主な特徴と目標
1. 高温プラズマの生成: ST-40は、1億度以上のプラズマ温度の達成を目指しています。これは核融合反応が持続可能になる温度であり、核融合エネルギーの実現において重要な要素です。
2. 球状トカマク構造: 球状トカマクは中心に空間を取りやすい形状で、磁場コイルやその他の部品をコンパクトに配置でき、通常のトカマクより小さな設計が可能になります。これにより、トカマク装置の製造や維持が比較的簡便になると期待されています。
3. 強磁場コイルの使用: ST-40は高温超伝導コイルを使用して強磁場を生成し、プラズマ閉じ込めの効率を高めます。高温超伝導体は低温で動作する従来の超伝導体に比べてコストが低く、効率も高い点がメリットです。
4. 商用核融合の実現を目指す: トカマク・エナジー社は、ST-40を経て2020年代後半に商用規模での核融合発電の実現を目指しています。ST-40で得られた成果を基に、次世代の球状トカマクST-HTS(仮称)へと進み、最終的にはエネルギー市場に提供できる装置を開発する計画です。
ST-40の重要性
ST-40は、球状トカマク技術を用いて小型で効率的な核融合装置の可能性を探る重要な試験装置で、実験結果は将来の核融合エネルギーの商業化に向けた指針となります。また、球状トカマクは、設置面積が小さく済むため、従来のトカマクよりも発電所への応用可能性が高いと考えられています。
核融合三重積(2024年報告)
$ 6 \times 10^{18} \, \text{m}^{-3}\text{keV}\text{s}
https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1741-4326/ad6ba7/meta
ST-40のような装置は、核融合エネルギーが持続可能なエネルギーソリューションとなるための技術開発の過程で重要な役割を果たし、エネルギー問題の解決に向けた大きな一歩となっています。