過去
無意味な問いだ。わたしがここまで長生きできたのは、過去をぜんぶ捨ててきたからだ。悲しみも後悔も罪悪感も締め出して、ぴったりドアを閉ざす。もしもちょっとでも甘い気持ちで細く開けたが最後、バン! たちまちドアは押し破られ、苦悩の嵐が胸の中に吹きこみ恥で目がつぶれコップや瓶が割れジャーは倒れ窓は割れこぼれた砂糖とガラスの破片でしたたかすっ転んでおびえ取り乱し、そうしてやっとぶるぶるふるえて泣きながら重いドアを閉ざす。散らばった破片を一から拾いなおす。掃除婦のための手引書p.274 過去は、今この瞬間に思い出している記憶でしかない。 つまり、 過去はもう存在しないのだ。 ところが多くの人は過去にとらわれて生きている。 過去を間違って使う方法は次のとおりだ。 ●過去に起こったことを残念がる。
●過去の出来事を変えようとして膨大なエネルギーを浪費する。
●過去にしてしまったことを恥じたり後ろめたく思ったりする。
●過去を理想化する。 過去は 「終身刑」 のように囚われるものではなく 「人生の教訓」のように活かすものである。