背表紙効果
哲学者のロバート・A・ウィルソンと心理学者のフランク・ケイルは、自身の無知についての無知という現象について研究を行った原注3。「説明の影と浅さ」〔The Shadows and Shallows of Explanation〕と題された1998年の論文で彼らが扱ったのは、人は物事の仕組みを、実際に理解しているよりもよく理解しているとしばしば勘違いしてしまうという、よく知られた現象についてである原注4。そこで分かったのが、私たちには実際よりも物事を知っていると思い込んでしまう傾向があり、その理由は、他の人の専門性を信用しているからだということだ。これはちょうど、人類の叡智を収めた巨大な図書館で本を借りては来たものの、全く読んでいない、というようなものだ。借りてきた本に書かれている情報を私たちはすでに手にしていると考えてしまうが、それは本にアクセスできるからである。しかし、実際には知識を得ているわけではない。当該の本を全然読んでいないうえに、深く勉強したわけでもないのだから。この比喩にしたがって、この誤謬を「背表紙効果訳注1」と呼ぶことにしよう。話が通じない相手と話をする方法 ピーター・ボゴシアンジェームズ・リンゼイ位置.952 2013年 、 認知科学者のスティーブン・スローマンとフィリップ・ファーンバックは、 行動科学者トッド・ロジャースと認知心理学者クレイグ・フォックスとの共同研究で、 背表紙効果は政治的な意見にも当てはまることを実験で示した。 これはつまり、 借りものの知識に頼っていることを自覚することさえできれば、自分の考えを疑うことができ、ひいては 〔偏った〕 考えを中和する効果があるというのだ。 話が通じない相手と話をする方法 ピーター・ボゴシアン ジェームズ・リンゼイ・位置 974