書くしかありません
本というのは不思議なものでどんな作品でも本にしたら必ず読者が現れます。『メタモルフォーゼの縁側』で主人公がコミケで初めて自分の描いた漫画が売れたシーンがありました。本の形になっている限り誰かしら手に取ってくれる人はいます。作家にとって読者がいると信じられないことが、一番悲しいことかもしれません。書くことについてのノート太田明日香p.50 読者の反応を知りたいとか、本当に自分は必要とされているのかとか知りたくなりますが、反応を求めることにあまり夢中にならないほうがいいと思います。本になれば誰かしら読む人がいるのです。そしてそれはすぐには現れないものなのです。それくらいの悠長さで構えていたほうが気楽に長続きできます。出版社は会社なので採算が必要とされるし、商業作家なら生活がかかってきます。だけど、インディペンデントでやるなら、そこに汲々としていると売れるものも売れなくなってしまうような気がします。 インディペンデントの出版物を読みたい人は商業にはない初期衝動や独自の視点を求めているのではないでしょうか。つまり、二匹目のドジョウをねらう必要もないし、誰かの真似をする必要もありません。自分のものを読みたい読者がいることを信じればいいのです。書いていれば誰かが読んでくれるのです。書き続ければ、読み続けてくれる人が出てきます。そして、読者の存在を信じるためには、書くしかありません。書くことについてのノート太田明日香pp.51,2