反応する前に時間を置く
さらにパクストンとグリーンは実験にひねりを加え、一部の学生にはすぐに答えさせなかった。 回答を入力する前に、被験者を二分間待たせるよう (コンピューターの)プログラムを組んだのだ。 その結果、 〈象〉が一方の見方へと傾いても、 突発的な感情の効果は二分間も継続しないことがわかった。 画面を眺めているうち、 〈象〉の偏りが小さくなって、 与えられた議論をよく考えてみる余地が 〈乗り手〉 に生まれたのである。 できの悪い議論を聞かされた被験者は、依然としてジュリーとマーク〔この二人が近親相姦をしたというストーリーを被験者に見せる実験をしている:引用者註〕を非難したが(ただちに答えた被験者に比べ、 非難した者の数はわずかに多かった)、 二分間堅実な議論を熟考した被験者は、二人の行為に対してはるかに寛容な態度を示すようになった。 二分間の遅れによって考える時間を与えられた <乗り手〉 は、たいていの被験者の〈象〉が最初に抱いていた直観に反する判断を下したのだ。社会はなぜ左と右にわかれるのか ジョナサン・ハイト ・位置1681