コミュニケーションスタイルを女性に合わせる
社会言語学者のジェニファー・コーツは、著書『女と男とことば: 女性語の社会言語学的研究法』のなかで、 男性と女性は会話のスタイルが大きく違うと述べている。 女性たちの会話には明らかに協調性があり、話し手の言葉に「そうそう!」、「うん、うん!」、「そのとおりよ!」 といった相槌をよく入れる。 また話し手が言った最後のフレーズを聞き手が同時に繰り返して、その発言を締めるという手法もよく使う。しかし男性の会話はもっと競争的で、闘争的とさえ言える。 彼らの会話は相手をからかうようなスタイルが多く、相槌などほとんど存在せず、話をかぶせていくスタイルは無作法以外の何物でもない。 会話のスタイルがこれほど違えば、会話グループの人数が増えたとたんに男女別の小グループに分かれてしまうのも当然だろう。 だがそうなると、恋人同士の二人の会話も、あっという間に衝突してしまうはずだ。 それを私たちは、どうやって回避しているのだろうか。 かつて私が教えていた大学院生で、 今はスコットランド政府で統計専門家をしているサラ・グレインジャーは、カフェでカップルを観察し、男女のカップルがどうやって会話を維持しているかを調べた。 その結果、たいていは、 女性が会話のスタイルを男性に合わせていることがわかった。 まあ、これを聞いても世の人の半分はまったく驚かないだろう。なぜ私たちは友だちをつくるのか ロビン・ダンバー345ページ ロビン・ダンバーのこの本、延々男女の(ほぼ生得的な)コミュニケーション、友人づくり上の性差を主張する本で、まあバイナリ大前提だし、その全てを受け入れるかどうかは著者の主張上、眉につばをつけたほうがいいとは思うものの、「男のコミュニケーションってさあ.....」に実験的、観察的にも裏付けがきちんとあるって指摘はめちゃくちゃ重く受け止めたほうがいいな。
要するに男女でコミュニケーションスタイルにかなり差があって、では男性と女性が話す時はどうしてるかというと、女性が男性に合わせてるんだと。
これ、逆に「男女の性差を主張したり強調するなんてバカげてる」と思ってる人ほど「女性も当然男性と同じ。だからいつもの自分と同じコミュニケーションスタイルでいい」と思ってしまいがち、ということでもある(男女の性差を認めない人ほど性差別的構造に気づかない)。そしていつもの自分のコミュニケーションと同じってやるとそれは実はすなわち「女性に男性に合わせたコミュニケーションを強いている」ってことだ。ジェンダーとサードプレイス参照。 「自分としては分け隔てなく接してるだけだし、いつもこんな感じだし。なんでおじさんとか言われるの?」と思ってるかもしれないが、女性からすると「そもそもまず最初にお前にスタイル合わせてやってんだよ」「そのハンデ数え忘れてる、意識できてない時点でクソすぎんだろ」という話に。他人に変われと言うが自分は何も変えないではダメ。 具体的には