オーガニックリーチ
世の中に商品や情報やエンタメが溢れかえっている今、 「自分にぴったりの商品」 や 「まさに今の自分に有益な情報」や「自分のツボにはまるエンタメ」 にいったいどうやって出会えばいいのだろう。 検索しても、自分のツボにはまる歌舞伎なんて出てこない。 ポスターで見てもSNSのタイムラインに上がってきても、自分の趣味に合うかどうかなんて全然わからない。 でも、友人が薦めるなら話は別だ。 なぜなら、友人とは 「価値観が近い人」 だからである。 価値観が近い友人がツボにはまるコンテンツは自分もツボにはまる可能性が高いし、 価値観が近い友人が愛用しているモノは自分も愛用する可能性が高いし、価値観が近い友人が熱中するコトは自分も熱中する可能性が高いからだ。ファンベース / 佐藤尚之 79ページ この「自分の言葉」を、「オーガニックな言葉」と呼ぶ。 オーガニック・フードなどで使われるオーガニック。オーガニック・フード=自然食品、 なので、 自然な言葉、 と訳してもいい。 誰かに言わされたのではない、自分の中から出てきた言葉、 心からの本音みたいなことだ。 で、 その 「自分の言葉」 が周りの類友や友人に届くことを「オーガニック・リーチ」と呼ぶ。 この、オーガニック・リーチこそが、 情報や広告に飽き飽きしている生活者に 「最強に届く (リーチする)方法」 だ。普通だったらスルーされがちな「企業からの都合のいい一方的な情報」も、類友のオーガニック・リーチとしてなら、スルーされずに受け取ってもらえる確率が高い。 短期キャンペーンや単発施策も、類友から「こんなのやってるよ!」 と伝わってくると、目や耳に入ってくるのである。ファンベース / 佐藤尚之 82ページ しかも、人は大好きなモノ、コトを、近しい類友に言いたくてたまらない。 ファンは(熱量の多寡にかかわらず)周りにいる価値観が近い類友に、 自分の好きな商品をオススメしたくなるものなのだ。「ねえ、この商品、キミにもぴったりだと思うよ!」 とオススメしたがるのである。 そしてその影響力は絶大だ。 要するに「ファンは周りの類友をファンにしてくれる」のである。 あとは「どうやってファンが周りに言いたくなるようにするか」 である。 いくらファンと言えども、何の脈絡もなく 「この商品、大好きなんだよね- ! 絶対のオススメ!」 とか突然言い出すことはない。 それじゃ単なる変人だ。 ファンがオーガニックなオススメをするきっかけを作る。 言いたくなるような状況を作る。 言いやすくなるような環境を作る。ファンベースにおいてそこがとても大切になってくる。ファンベース / 佐藤尚之 82ページ