神道学・宗教学理論演習(2024年度前期)
まとめにかえて
教員と話をする。もちろん学生どうしでも。
指導教員がおおよそ決まったようなので、基本的には指導教員と話をしていろいろ考えてほしい。
もちろん、それ以外の教員(学部のみ担当している教員も含めて)もみな研究者なので、(専門が近そう、など)必要があれば、オフィスアワーズなどを活用して話をしてよい。
他専攻を含めて、院生どうしで研究の話をするのは勉強になる。
ただし、教員や先輩の話といえども鵜呑みにしないこと。:このページにもホラがあるかもしれない。
書いたこと、実行したことがひとつの判断基準。:その人はどんなものを書いているのかな、どんな学会で発表しているのかな、という視点
書くために
修士論文を書き上げることをイメージして、それに向けていろいろ考えてほしい。
研究をすすめるには
〈a. 自分が考えたいこと〉と〈b. これまで学問の世界で研究がなされてきたこと〉のあいだを考える。
〈a. 自分が考えたいこと〉の全てをひとつの研究に落とし込もうとしない。
さらにいえば、〈a. 自分が考えたいこと〉のある部分は、〈研究〉にはならないものかもしれない。
そういうものは、別の機会に取っておく。
〈a. 自分が考えたいこと〉を具体化・明確化するためには、〈b. これまで学問の世界で研究がなされてきたこと〉=先行研究を広く読みあさるといい。いろいろ読んでいるうちに、〈a. 自分が考えたいこと〉のうち研究の形になりそうなものが、少しずつ見えてくる。「こういう研究がしたい」と思うような研究者や論文が見つかったらしめたもの。
民俗学と神道学(あるいは歴史学)
〈民俗学のようなことをやりたいが、歴史的にきちんとやらないと神道学では研究としてなかなか成立しない〉問題
対象とする時期を明確に意識する。:(例)近代から現代にかけて、とか近世を中心に近代にまで存続しているもの、とか。
時代をある程度限定できるなら、民俗学的なアプローチも(歴史を重視する)神道学で可能になる(かもしれない)。時代的には近代・現代が中心。古代・中世は主題的には論じにくい。近世はやりようによる。
日本では、文化史という研究領域の流れにそういう性質を見ることができる。
先駆者のひとり、高取正男:著書・論文を読んでみて、手つきを倣うことができるかどうか
また、20世紀の終わり頃に歴史学と民俗学の相互交流が活発になった時期がある。
その頃の成果に学んで、現在にも通用する研究になるかどうか考える。
『日本民俗文化大系』(全14巻、別巻1冊)小学館、1986年
『日本の社会史』(全8巻)岩波書店、1986-88年:日常的世界へと向かう、世界の重層性を問う、というヴェクトルがある(二宮宏之)。
両者(歴史学と民俗学)の関係のその後の展開については…各自で見極めて下さい。
調査について
神道学・宗教学における調査は多様なので教員がカバーする範囲にも限界があり、各自が適切な専門分野の場に「出稽古」に行ったほうがいい場合もある。
実地調査系
調査方法の本とその著者が実際に出した研究成果(著書、論文)などを見比べてみると、自分のやりたい調査方法が絞れるかも。
資料(史料)調査系
史料学入門の類の書籍を読んでおく(すでに学部などで史学を専攻していて、そのへんの知識がある人は不要)。
中世・近世・近代を対象とする人は、くずし字解読関係の勉強も早い時期に進める。
上記の2点について、まずは指導教員に指示を仰ぐ。
時代がある程度限定できた人は、史学科で当該時代を扱う史料講読関係の授業(学部)に出席することも有効。
書籍を読むだけではわからない、さまざまなルールや史料で注意すべきポイントについて学ぶことができる。
それ以外の人も、古い時代の文献を読むときは、古文に慣れていないと無意識のうちに現代の意味で理解しようとしてしまうことがままあるので、最初のうちは特にこまめに古語辞典を引いたり、古典文法について確認するなどしたほうがいい。