縦隔気腫
【概念】
肺胞や気道の損傷により間質に出た空気が、気管支・血管束に沿って肺門から縦隔内、さらには頸部に到達した状態を言う。※食道破裂、ガス産生菌感染などによるものは、一般に縦隔洞炎に含まれる。 【分類・成因】
1)特発性:若年者にみられる。息こらえ、咳嗽など急激な肺胞内圧の上昇による肺胞・末梢気道の損傷が原因と考えられている
2)症候性(secondary):間質性肺炎・肺胞線維症、喘息発作などに併発
3)外傷性:気管内挿管による気管損傷、縦隔鏡検査後、気胸の際に稀に空気が壁側胸膜を通り縦隔に到達する
【症候】
1)自覚症状:特発性や症候性では、息こらえ・強い咳などの後に突発的に胸痛(胸骨後部のことが多い)が出現。通常呼吸困難はない。頸部の痛み、呼吸困難感
2)身体所見:皮下気腫、Hamman徴候(心収縮中期にクリック音を聴取する。左気胸のときにもみられることがある)
【胸部画像所見】
縦隔内の空気層の存在:心臓辺縁、気管・大血管周囲など
皮下気腫の存在:頸部、肩、胸壁の軟部組織内
【診断】
自覚症状、身体所見、胸部画像所見により診断は容易。成因を診断することが重要
食道破裂によるものでは炎症を併発し、また気管内挿管の合併症としての縦隔気腫は損傷部が大きく重症となる
【治療】
1)特発性・症候性縦隔気腫:通常は安静のみで軽快
2)縦隔洞炎を併発するもの:抗菌薬投与、縦隔ドレナージなど。外科的処置を要することが多い