先端巨大症
#内分泌疾患 容貌変化、しびれ、いびき、コントロールの困難な高血圧・糖尿病の患者
下垂体GH産生腺腫からのGH過剰分泌→肝臓および諸臓器のIGF-1過剰産生→種々の身体的・代謝的異常が生じる疾患
IGF-1過剰は骨組織および軟部組織の増生を招来
特有の顔貌(下顎突出と不正咬合,眉弓の突出,鼻翼拡大など)
その他の身体的変化(トルコ鞍の拡大および破壊、副鼻腔(前頭洞)の拡大と突出、手足の容積の増大,手指末節骨先端のカリフラワー様変形,足底部軟部組織厚heel padの肥厚など)
GH過剰は成人では主に代謝障害(耐糖能異常,高血圧,高リン血症など)の原因
悪性腫瘍,特に大腸癌の発症頻度が高い。大腸ポリープ→下部消化管内視鏡検査
【合併症】
心血管系:高血圧、心筋症、心不全
呼吸器系:睡眠時無呼吸(巨大舌や上気道周囲軟部組織増生による気道狭窄)
内分泌・代謝:二次性糖尿病(成長ホルモンのインスリン拮抗作用)、高トリグリセリド血症
性腺系: 高プロラクチン血症 #無月経 #乳汁漏出 #月経不順
腫瘍自体がGHと同時にプロラクチンを産生する場合
下垂体茎の物理的障害によりプロラクチン分泌に対するドパミン抑制が解除される場合
骨代謝系:高P血症、手根管症候群、変形性股関節症
その他:大腸ポリープ
【問診】
慢性の頭痛(→頭蓋内器質的疾患の可能性
「久しぶりにあった人に鼻が大きくなって顔つきが変わったと言われた」
「最近靴が窮屈になってきている」「ボタンが留めにくくなった」「指輪のサイズが合わない」
「いびきを指摘」「声がこもった低温」
両耳側半盲
手術歴:手根管症候群(軟部組織増生により正中神経が圧迫) #しびれ
発汗過多
頭痛
視力・視野障害
女性における月経異常 高プロラクチン血症(→間脳下垂体疾患の可能性)
不正咬合(歯列間隙の拡大)
【身体所見】
身長173cm,体重72kg.体温36.4℃.脈拍56/分,整.
血圧156/90mmHg.→高血圧
顔貌変化(眉弓膨隆,鼻・口唇肥大,巨舌)
内臓肥大(心肥大→心筋症様の症状)肝臓、腎臓
(陰性所見)
眼瞼結膜・眼球結膜、咽頭発赤、頚静脈怒張、甲状腺腫・頸部リンパ節、心音・呼吸音、腹部平坦・軟、肝・脾、下腿浮腫、腱反射
【検査】
1.GH高値(→律動的に分泌されており変動することから一回の採血では評価できない
ブドウ糖負荷(75gOGTT)で血中GH値が正常域まで抑制されない(0.4 ng/mL未満)
2.インスリン様成長因子〈IGF-Ⅰ〉高値(成長ホルモン依存性の成長因子。IGF-Ⅰは日内変動を認めない.年齢,性別により変動し,思春期に最大)
3.MRIまたはCTで下垂体線種
血液生化学検査:AST 38U/L,ALT 42U/L,ALP 256U/L(基準38〜113),
空腹時血糖126mg/dL(→耐糖能異常
総コレステロール254mg/dL(基準220 mg/dL以下),トリグリセリド216mg/dL(基準30~135 mg/dL)(→脂質異常症
HDLコレステロール48mg/dL.
高P血症(GHは腎尿細管でリン再吸収を促進)
下部消化管内視鏡検査
(陰性所見)
TSH、FT4
【治療】
第一選択は経蝶形骨洞腫瘍摘出術
手術の治癒基準:➀ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)でGH最低値が0.4ng/mL未満となること,②臨床的活動性を示す症候が消失していること
腫瘍が残存した場合
薬物療法(ソマトスタチンアナログ(術前に腫瘍の縮小を図る),GH受容体拮抗薬,ドパミン作動薬)
➀ソマトスタチン誘導体注射(酢酸オクトレオチド,ランレオチド、GH分泌抑制作用)
②GH受容体拮抗薬(ペグビソマント)注射
③ドパミン受容体作動薬(カベルゴリン,ブロモクリプチン)経口投与(保険未収載)
薬物療法のコントロール基準の1つは血中IGF-1の正常化であるが,年齢・性により基準範囲が異なる
放射線療法(ガンマナイフ,サイバーナイフなど)が行われる.
合併症に対する補助療法
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