リンパ球性下垂体炎
#内分泌疾患 #脳占拠性病変
リンパ球性下垂体炎は下垂体の自己免疫性炎症性疾患であり,病変部位によって少なくとも3つの型(前葉炎,後葉炎,汎下垂体炎)に分けられる.
【問診】
頭痛(→頭蓋内の占拠性病変を疑う)
視野障害,両耳側に欠損(→視交叉近傍の占拠性病変を疑う)
妊娠28~30週(→下垂体前葉炎は妊娠中-後期に発症しやすい)
(陰性所見)
多飲・多尿(尿崩症←サルコイドーシス
【身体所見】
(陰性所見)
身長165cm,体重62kg.脈拍76/分,整.血圧118/74mmHg.
眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない.
【検査】
抗サイログロブリン抗体陽性(→自己免疫疾患の素因が存在する可能性)
TSH 0.15μU/mL(基準0.2~4.0),FT4 0.74ng/dL(基準0.8~2.2)
ACTH 11.4pg/mL(基準60以下),コルチゾール1.8μg/dL(基準5.2~12.6)
プロラクチン25.4ng/mL(基準15以下)
(陰性所見)
AST 33IU/L,ALT 17IU/L,クレアチニン0.6mg/dL,血糖92mg/dL,総コレステロール124mg/dL,Na 140mEq/L,K 3.8mEq/L,Cl 104mEq/L,
GH 2.7ng/mL(基準5以下),IGF-Ⅰ 164ng/mL(基準112~271)
免疫血清学所見:CRP 0.3mg/dL
アンジオテンシン変換酵素正常(→サルコイドーシスの可能性は少ない)
頭部単純MRIのT1強調矢状断像(A)と頭部造影MRIのT1強調冠状断像(B)
#間脳・下垂体領域の占拠性病変 【鑑別】腫瘍・嚢胞・炎症・肉芽腫性疾患
妊娠後期の発症,正常下垂体構造物の残存,均一な造影効果があること(vs 下垂体線種),自己免疫素因の存在