ジギタリス
#循環器疾患
心房粗動 房室結節伝導を抑制し,心房細動や心房粗動が生じている際の心拍数を減少
発作性心房細動 PAF
■ジギタリス中毒のまとめ
【症状】
:胃腸症状(悪心・嘔吐・下痢),黄視,ときに女性化乳房,精神症状
【心電図】
初期:徐脈,PR延長
後期:
心室期外収縮(PVC):多発性(2段脈,3段脈)
心房性頻拍:房室ブロック(PAT with block)を伴うことが多い.
房室ブロック:第1~3度ブロック
【誘因】
低K血症・高Ca血症,利尿薬,低蛋白血症,腎障害,肝障害,肺性心,心筋梗塞,高齢者・小児,肺塞栓
【治療】
ジギタリス製剤の中止,低K血症があればK製剤の投与
補足事項
■ジギタリスと低K血症の関係
ジギタリス:Na-K ATPaseを阻害して細胞内へのK流入を阻害する.
→Kが流入しないため交換できなかった細胞内Naが増加する
→代わりにNaを出してCaを取りこむポンプが働き細胞内Ca濃度が上昇する
→心筋収縮力の増強作用
低K血症:細胞外のKが少ない→細胞内へKを取りこみづらくなる
→Na-K ATPaseの働きが低下する.
ジギタリスと低K血症はどちらも細胞内へのKの取りこみを抑えるため,作用が増強してしまう.
ジゴキシンは大部分が未代謝のまま腎排泄されるため,排泄の低下で濃度が上昇する.この症例は実際には高度腎機能低下例であり,ジゴキシン排泄の低下により中毒症状が生じたと考えられる
※クレアチニン1.4mg/dLという値から自信をもって腎機能低下を判断できなかったかもしれない.eGFRを計算してみると,本症例はCKD重症度分類におけるG4区分に該当し,高度腎機能低下例だと分かる.クレアチニンは筋細胞での代謝産物であるため,高齢者や女性など,筋肉量が少ない場合には上昇しにくい.本問はまさにこの症例であり,クレアチニンのみで腎機能を評価してはいけない