日本語の歴史
漢字に出会うまで、私達の先祖とされるヤマト民族は文字というものを持たなかった。 ヤマト民族は、文明化の入口に立った弥生時代に、やっと中国の漢字と出会った。
遅くとも紀元前一世紀頃には漢字に接していたヤマト民族は、六世紀頃になって、ようやく漢字・漢文を本格的に使うようになる。 そのため、義理人情や日本人の価値観、日本人の世界観といったものも、漢字や漢文から多大な影響を受けている。
さらに漢字文化を吸収したヤマト民族は、わずか二百年のうちに高度成長を遂げることに成功し、八世紀には「日本人」となり、訓点による漢文訓読法を確立させた。→日本漢文 これは日本人だけであり、漢字からかな文字という音節文字を作り、近代以前としては驚異的な識字率を達成させた国も東アジア圏では日本だけだったようだ。 つまり日本語とは、高級な概念語は漢語で、魂に触れるようなやさしい言葉は固有語(和語)という二段構造を持った言語となっている(西洋でも英語などは高級語彙はギリシャ・ラテン系の借用語、基本語彙はゲルマン系の固有語、という二段構造になっている)。