ヒューマニズム
ヒューマニズム(ラテン語ではフマニスムス)、つまり人間中心の思想は、16世紀のルネサンス時代に登場した、カトリック教会の神中心の世界観に対して人間そのものの美しさや価値を見いだした。彼らヒューマニストの思想は、キリスト教そのものを否定するのではなく、カトリック教会の権威主義・形式主義を批判したにとどまるのであるが、カトリック教会側からは危険思想として、たびたび弾圧された。彼らの詩作に影響されながら宗教改革が始まり、近代的な合理思想や啓蒙思想の源流となっていく。 人道主義・博愛主義を指してヒューマニズムと言う場合もあるが、英語では人道主義を humanism と区別して humanitarianism で表すこともある(必ずしも一般的ではない)。今日の日本では、むしろこの意味でヒューマニズムが用いられることが多いが、上記のように歴史的・哲学的文脈での人文主義者の主張は、戦争反対や、弱者に優しくしようといった発想と直ちに重なるものではない。