「エデン逆行」
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辞典(バイナリの樹形図)も、反粒子(カスケードシャワー)も、家系(家系図)もすべて樹形図的なイメージをもつ
やはり樹形図も自己相似(フラクタル)
螺旋も自己相似
最終的に自己参照の方向に行き着く
作品を読み解くことは素粒子物理学におけるReconstructionに似ている 残された手がかりから元となるアイデアを遡っていく
舞台となった街は、相対論が極端に見えやすい都市
「シェルピンスキー=マズルキーウィチ辞典」
主張は以下の通り。
平面内の部分集合$ Sで、以下の条件を満たすようなものが存在する。
$ Sの分割$ {S_1 , S_2}が存在して、$ S_1を平行移動すると$ Sと一致し、$ S_2を回転すると$ Sと一致する。
気持ちとしては、バナッハ=タルスキから選択公理を抜いても、なお逆説的で面白い主張があるよ、という感じか
シェルピンスキーの弟子がマズルキーウィチ
家系がフラクタル
セル・オートマトンとも関わりがある(セル・オートマトンとしてシェルピンスキー図形を生成可能) エデンの園:他の様相から生成することの出来ない様相
祖母の記憶を引き継ぐ
過去に戻った自分の先祖が自分自身という、SFではよくあるパラドックス
パラダイスとエデンで似通っていて、行と逆行で対になる
ヴァーリイの傑作選『逆行の夏』(復刊の方)の帯文は円城塔(「ヴァーリイを読んだことがない? 失ったものがないのなら、それでいいのだけれど。」) 80年代海外SFの象徴たるヴァーリイを好んでいるのは、年代なんだなと思う(われわれ世代でヴァーリイに親しんでいるSF読みをあまり聞かない)
逆行する時間のなかで家族の秘密を知る、というのは似ているかもしれない
マーク・ヴォネガット『エデン特急』
『エデン特急』(あるいは『エデン直行』)は、自身が学生時代に受けた精神治療を記したもの。
ヴォネガットだったか。
この作品を理解しようと読み直すたびに、物語はエデンへと逆行する
時間逆行する物語
エデンの園定理より、時間逆行を許す系なので、エデンの園配置は存在しない(エデンの園は作中世界に存在しない) エデンの園定理:エデンの園配置をもたないとき、かつそのときにかぎり、そのセル・オートマトンは可逆。 あるいは、エデンの園定理より、初期配置に戻ることは許されず、時間逆行のようだが実は世界はあるアトラクタに閉じ込められていることを示している 実は時間逆行ではなく、似たような状態をぐるぐる回っているだけではないか、ということ。
最後二つの段落の意味
「あなたの手にする〜」
つまり、読者が構成したシェルピンスキー=マズルキーウィチ辞典には含まれていない要素が存在し、それこそが本作の語り手
「こうしてわたしは〜」
おそらく一階上の論理体系に移ったことを示唆している
元の体系Sに第一不完全性定理を公理として認めたS'と推定される
一階上の論理体系S'であったとしても、そこで再度不完全性定理を構成可能であり、以下同様
かくして、創生の過ち(完全かつ無矛盾な体系を構成出来なかったこと)は繰り返される
エデンの園定理から、初期配置に戻ることは許されない
時間逆行のように見えて、実はアトラクタなのではないか
アトラクタからの脱却には、高階からの観測が必要なのではないか