「後藤さんのこと」
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まさか4色印刷を出版社に強いるとは
先行作として、横田順彌・鏡明「黒い声の謎」が挙げられる(東京三世社、『少年/少女SFマンガ競作大全集 PART12』収録、1980年刊行) こちらはシアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色刷り
文庫版カバー絵は『宝石の国』連載開始前の市川春子で、絵が好きで文庫を買ったという層が少なくない数観測される
正直客層が被っているとは思えないが、それはそれとして表紙で買って作品も楽しめている人もいるようなので早川書房グッジョブ
後藤さんの性質を知っていき、そしてその後藤さんの性質が失われてしまう話。
後藤さんが消滅したことで、宇宙は超光速通信を獲得し、時間逆行していく
最後は後藤さんのことをわかろうとするけど結局わかれない、という感じで終わっている
「内在天文学」は一定程度科学的に信頼出来て、しかも物理学的に論理を追えるタイプの作品。しかし「後藤さんのこと」は量子力学周り以外の部分ではちょっと信頼出来なさそうな記述が多数
共通点としては、今はまだわからないけど、それでもわかろうとはしているという姿勢にあるだろうか。
赤字の部分は後藤さんの一般の性質を表す
p13「「塵理論」」
p20 帽子のパズル
p23
一箇所だけ黒字の後藤さんが紛れ込んでいるが、これは誤植ではない。次頁に記載されている付帯条項参照。
p25 後藤さんの皮の性質について
この章から量子色力学要素が強くなる。
後藤さんの性質として列挙されているものは、全て光の物理的性質
分後藤さんは分光に相当する。白色後藤さんをプリズムに入射させると、分後藤さんが出てくる
色背景に黒字の後藤さんは、おそらく白字の方が正確な表現になっていたはず。これには印刷精度の問題もあると思うので仕方がないと思う。
p34「おかま口調」
円城塔作品には非常に珍しい記述
【余談】円城塔作品の大きな特徴として、自身を知るために自身のコピーを観察する、という流れが多用されるということがある。一般に、もっとも身近な自身のコピーとして自身の子が挙げられる。子を得るためには生物学的男女が生殖行為を行わなければならず、結果円城塔作品には男女が登場することが多くなるのだと思う。