中間目的
定義
勝利条件が成立するために、チームや人、中間成果物等が満たすべき局所的な状態 https://gyazo.com/5c9ce24b4f6bef32b487a37f4919f3d1
※画像引用:「紙1枚に書くだけでうまくいく プロジェクト進行の技術が身につく本」(翔泳社,2020)
プ譜のなかで、一番、項目名を言い間違いされやすいのが「中間目的」です。よく「中間目標」と言われます。あんまり厳密に訂正するほどのことでもないかな、と、思いつつ、そのニュアンスの違いについては、少し考えていただけるといいなぁと思うことが多いものです。
プロジェクトマネジメントの権威的な教科書の世界観で考えると、「獲得目標」が上位にあって、「中間目的」が下位概念として位置づけられているのは、かなり気持ちが悪い話ではあります。プロジェクトマネジメント理論の通常では先に「目的」があってそれを叶えるために、あるいは達成状況を確認するために「目標」を置く、というふうに考えるからです。
単なる言葉のアヤなので、どっちでもええかなと思わないでもないですが、しかしここはやはり「中間目標」ではなく「中間目的」というふうに考えたいな、と、思います。
なぜかというと、プロジェクトが成就するために、その取り組みがどんな「状態」を目指したいのか、ということのほうが本質だからです。「目標」というと、やはり、目に見えて形のあるモノをイメージします。WBSでは「最終成果物」が「中間成果物」に分解されるわけですが、「中間目標」というと、どうしてもこの、「中間成果物」を連想してしまいます。
勝利条件の定義は「取り組みが成就するためにプロジェクトの状況が満たすべき状態」でした。中間目的とは、これを分解したものであるわけですから、やはり「状態」を表さなければなりません。 しかし、理想とする状態を、その部分集合に分解するというのは、考えてみると、なかなか難しいところがあります。
一体、いくつに分解すればよいのか?状態を分解する、とは、どういうことなのか?
あんまり深く考えなくてもよいのですが、要素分解の参考として、例えば「戦車」というものを考えてみます。
戦車をある戦場で活用するにあたって、考えないといけないのは「移動性能」「攻撃性能」「防御性能」のバランスです。この3つの性能は、それぞれ独立して好き勝手に強化できるわけではありません。どれかを優先すると、どれかが損なわれる、という関係性にあります。そしてまた、どんな地形でも優秀な戦車、というものはありません。
だからこそ、「この戦場における優秀な戦車」という上位概念に対して、「移動性能」「攻撃性能」「防御性能」のバランスと優先順位を考える、という「要素分解」をするのです。
考える、ということは、状況に対して応答する、ということであり、より的確に応答するためには、より適切に分解をしなくてはなりません。
ちなみに、プロジェクトマネジメントの超王道の分解法は「QCD」というやつです。
プロジェクト活動を「品質Quality」「費用Cost」「納期Delivery」の3つの視点で分解、評価し、そのバランスと優先順位を考えることで、活動を適切な形に統制しよう、というフレームワークは非常に強力で、一般性もあり、社会で広く活用されています。ただ、どんなプロジェクトもQCDだけ考えればうまくいくのか、というと、必ずしもそうとも限らないわけですが・・・
このあたりのことをじっくり考え出すと、プ譜の記法論について考える必要が出てくるのですが、ここではそこまで深く考えることはやめておこうと思います。実務的に、中間目的として設定するのに適した個数について、簡単に、以下のように記載しておきます。 中間目的が一個、ということはありえない(勝利条件となってしまう)
2つ、ないし3つ程度の中間目的が覚えやすく、書きやすい
4つ以上の中間目的を立てることも、不可能ではない
その方が表現しやすい場合もある
しかし、あまりに数が多い場合は視認性が悪くなる
加えて、同じ上位要求のもとにあるものをグループ化することが可能であり、最終的には3個程度に集約できる
さて、あらためて、中間目的とは、その取り組みを成就させるために、つまり、勝利条件を満たすために必要な状態を導く、局所的な状態、であるわけですが、目的とする状態を導き出すためには、当然のことながら、なにか行動を起こす必要があります。