石油発電機があまり好かれてない理由
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石油発電機 は単独で2000W、単機で発電量が最も高い発電機なのだけれど、慣れたプレーヤーほど評価をあまりせず、どちらかといえば天然ガス発電機の方をよりパフォーマンスが高いとして、天然ガス蒸留することを優先する。 そして、概ね慢性的な電力不足の解消に、1番発電するということで石油発電機が良いんじゃないかと手をつけて、却って状況を危うくさせてるプレーヤーも……
本稿はそれに気づいて即物的に「ダメじゃん」と FUD に陥らないように、前もって「よく考えて仕組みにしないと、普通に損するよ」というのを説明しつつ、別の機会で『ちゃんと効果的な運用と設計はできる』とする前段にあたる。各々で解決を試行錯誤するも良し 1. 「発電する為に余計に電気を使っていないか?」
まぁ大きな理由がこれである。改めて計算してみよう。
石油発電機には可燃性液体燃料が要る
以下2つが選択肢
エタノールは惑星次第では錆バイオームに溜まった物があるから、それを汲み取って使えば確かに低コストで使い始められる。
だが、もとからある資源を使い切った後は人工的に作るしかない。
人工的に燃料を用意する場合で考えていく
1-A. 油井から原油を汲み上げて石油にするコスト
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石油発電機が稼働するには 2000g/s が必要
精油装置 (480W) は 5kg/s なので2台までは「精油の作業員が常に張り付いているなら」余裕を以て運用できる 精油装置には10kg/sの原油が要るので、 吸水ポンプ (240W) が常に1台動き続けることになる 精油装置は 天然ガス を自然排気するが、圧力が 5kg/タイルを超えると稼働できなくなる 原油溜まりでなく 油井 (240W) から原油を得るペースは 3.33kg/s, つまり3台の油井が動き続けてやっと消費と釣り合う 油井が原油を掘るためには #水 1kg/s をパイプで送るので、更に吸水ポンプを1台追加 油井の出力は、周囲にダバダバと垂れ流しなので、それを組むのに更に吸水ポンプを1台追加
油井は蒸気も出すことがあるので、真下に原油と水が混ざる。 液体フィルター (120W)を追加 油井もガス抜きが要る。天然ガスが出てくるので、周囲に溢れ出ないように吸気ポンプとそれを選り分けする気体フィルターの1セット追加
これら全て機械類がオーバーヒートしないように、適度に冷却する何かしら別の機構も要る
table:石油発電を始めるための電力コスト
機器 単体 台数 計 補足
精油装置 480W 1 480W
吸水ポンプ 240W 2 480W 厳密には水用のポンプはたまにしか動かない
液体フィルター 120W 1 120W
吸気ポンプ 240W 2 480W ちゃんと制御したらもっと省電力には出来る
気体フィルター 120W 2 240W
油井 240W 3 720W
合計 2520W
なんにも考えずにリソースの依存関係とその処理方法を組んでると電力的にもう赤字が予想されるのである。
っていうか最悪時には石炭発電機1機近く電力が余計に必要になっている。
特に最初のうちは 「こんだけ天然の原油溜まりがあるんだから、暫くは保つでしょ」と枯れるまで汲みあげているから気づかない
そして、その時点でだって、そんなに電力的に黒字でもないのである
table:いろいろ細工と手抜きをしてみての電力コスト
機器 単体 台数 計
精油装置 480W 1 480W
吸水ポンプ 240W 1 240W
吸気ポンプ 240W 1 240W
合計 960W
「天然の原油から汲み上げて精油して使うだけ」の場合ですら960Wは要るのである
そして、それは期間限定の事なので、結局いつかは↑のように油井を使わないといけなくなる
結:精油装置を使う場合は、精油した5kg/sの石油から4kg/s使って、2台運用しないと割に合わない
1-B. エタノールの場合
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2kg/sペースで醸造するには 醸造台(240W)は4台要る
炭素スキマー (120W) が常に2台あっても吸いきれない。3台ないと気圧が高まり続ける table:バイオエタノール発電のランニングコスト
機器 単体 台数 計
合計 1320W
チューニングなしの場合での、この時点の電力収支は+680Wで、石炭発電機に毛が生えた程度
このあたりで「……あれっ……?」と思うはず。確かに薪ストーブよりも効率よく発電できるものの、その差分は思いの外微妙で、2000Wから3000Wにチューニングアップしてやっと大幅に電力を得られるようになる とはいえ、チューニング時の余剰電力は1.68kW。
石炭発電機2つをチューニングしたら900W * 2 = 1.8kW同等の電力は補えてしまう…
水素発電機2つチューニングなしで1.6kWと考えると、やっぱりランニングコストが大きい感が否めない
2.排気ガスや排水、排熱に対し後手に回って更に電力使ってないか?
石油・エタノール共通の排熱と二酸化炭素の処理に関するランニングコスト
そして、石油発電機は発電時 500g/sの 二酸化炭素 と750g/sの 汚染水 を出し、20kDTU/sの 熱 を出す 二酸化炭素の量的に炭素スキマー 1台では足りない。汚染水も吸水ポンプで吸わなきゃいつか溢れてしまう。
この汚染水を 浄水機にかけて水にして、油井と炭素スキマー用の水にしてトータルの電力を安上がりにする工夫もあるものの、浄水機1台分の120Wがやっぱり増えている。そして、これは精油過程以上に冷却機構が必須になるので何かしら更に電力が要る
table:稼働の副産物に掛かる電力コスト
機器 単体 台数 計
炭素スキマー 120W 2 240W
吸水ポンプ 240W 1 240W
浄水機 120w 1 120W
合計 600W
石油を使って、フィルタリングに工夫しなかった場合では合計で3120Wとなり、電気エンジニアのチューニングをしても赤字になってしまった。そして、これら全て排熱が起きるので、コロニーを温暖化するペースを早める結果になっている。
エタノール発電でも同様、チューニングしなかった場合「稼げた余剰電力はたったの80W」
ただ単に80Wの電気を得る為にコロニーを空間ヒーター何台分の熱を出しながらガシャガシャ機械を動かし続けているダケになってしまう
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この図の各発電機から消費燃料の質量に対する発電エネルギー比に注目
石油発電機: 2000g/s で 2000Wから3000W → 1W/gから1.5W/g 天然ガス発電機 : 90g/s で 800Wから1200W → 8.88W/gから13.33W/g 石油を直接使うより、蒸留して天然ガスに変えた方が燃費が9倍近く良くなる
それでも石油2kgから取り出せるエネルギーは天然ガスにすれば11.85kWも稼げるのである
$ 2000 \times \frac{2}{3} \times 90 \times 800 \fallingdotseq 11.851_{(kW)}
チューニングしたら更に1.5倍なので17.77kW。チューニング幅さえも6kWも跳ね上がる
副産物としての汚染水の算出割合も天然ガス発電機からの方がロスが少ない
上級者プレーヤーが石油発電機に石油を使わなくなるのはコレが理由
なので、石油に至っては最終的には石油を直接発電に使わなくなって、ほぼエタノールを燃料にするようになる
(たぶんKLeiが正式リリース前にエタノールを燃料に追加したのはコレも理由だと思う…)
「じゃあタダの無駄なの?」「絶対にNO」
自生のアーバーツリー28本から得られるエタノールを石油とは別のエネルギー資源として利用できる 「エグい温度じゃない汚染水(30℃〜)がそこそこ出てくる」
蒸気噴出口や熱水間欠泉、塩水間欠泉(90℃付近)に比べればずっと低い温度の水が0.75kg/s出てくる
結構うれしくないか
マップに水も汚染水も少ない森林バイオームスタートの惑星なんかは、それを水源にさえする
精油装置1台で2台動かさせて無理やり黒字を稼ぐ
プラスチックの製造含め、他の用途は1kg/sだと割り切って運用する、とか
副産物を更に発電リソースにする
汚染水を浄水してから電解装置→水素を水素発電機(800W 〜 1200W)へ
油井や精油装置から出る天然ガス→天然ガス発電機 (800W 〜 1200W)へ
天然ガス発電機の排ガスの二酸化炭素も石油発電機の処理と一緒に行わせるようにする
そういう風に合わせて「単体でみて結果的に損するなら、トータルで利益が出るように」すればよい
ピンチヒッターの役割を与えると1番輝くように思う
石油の精製過程で天然ガスも少量出るわけで
結び:相当工夫して余剰電力を稼ぐつもりで向き合う
例えば
油井に使う水の為にポンプを追加せず、既存の余力あるパイプラインから引いてくる、とか
フィルタリングに電力が要らないように工夫する、とか
スマートバッテリーで本当に電気が足りなくなった時だけ発電するモノとして扱う、とか