同意
自然法同士が衝突することで勝者以外の自然法が守られない事態が起きるようになる
自然状態の混乱を除くために我々は権利を一部破棄し社会に参加することに同意する
主に財産権を管理するため
限定された自然権が優位に立つ制約された政府という捉え方
すると以下の問いが生ずる
民主主義における多数派はどれほどの力を持つか?
制限された政府はどれほどの力を持つか?
最高権力は 本人の同意なく人の財産を一部たりとも奪うことはできない
なぜなら所有権を守ることが政府の目的でありそのために人は社会に入るのだから財産を持つことが必然的に想定され要請されているからである
彼が財産権に言及する際、生命、自由、財産の自然権全体が含まれる
人は社会において所有権を持っており 物に対する権利はコミュニティの法律により彼らのものとなる
財産権には恣意的側面と協定的側面があることが示される
政府は大きな負担なしに支えられるものではない 政府の保護を享受する者は皆その維持のための割り当てを自分の財産から支払うべきである しかし そこには本人たち または彼らに選ばれた代表者によって与えられた 本人の同意 すなわち多数派の同意がなければならない
何をもって財産とするか?
自然権が部分的に破棄されうる条件とはなにか?
ロックは多数派が同意した恣意的でない法のみが自然権を限定することを許容できるとした
特定の人物を選択するような行為がここでいう「恣意」にあたる
例えば徴兵制は無作為に選出されることに国民の過半数が同意した時だけ許容される
重要なのは 政治的 あるは 軍事的権威が恣意的に権力を行使しないことだ
ここがリバタニアリズムと相容れない第二の論点
例題: より公平な兵役のシステムはどれか?
例示される選択肢
徴兵制
国によって無作為に選出される
買収条項付き徴兵制
アメリカの南北戦争時代のシステム
無作為な徴兵制だが選出された個人は金で他人を雇い代行させられる
志願制
現代アメリカのシステム
志願することで国から賃金が出る
傭兵制
国が傭兵を雇う
買収条項付き徴兵制と志願制には殆ど違いが無いのではないか?
アメリカの志願制は「給与制の軍隊」だ
市場原理を公平とすればより下の方がより公平だが、所得格差を考慮すれば低所得層に強制させることに等しい
ここから以下の問いが生ずる
自然権の取引を市場原理に載せるのは公平と言えるのか?
(愛国心や)市民の義務と関わる領域を市場原理で解決して良いのか?
これに答えるためには2つの問いに答えなければならない
人々が自身の労働を売買する際、社会における不平等がどのように選択の自由を阻むのか?
市民としての義務は何か?
つまり兵役はそもそも義務なのかという話
私たちに市民の義務を負わせる物は何か?
それは同意なのか?同意以外に義務を負わせる力があるのか?
例題2: ベビーM 訴訟
営利目的の代理母問題
身体的なリスクから子供を作れない夫妻が代理母を募集し然るべき代金を払った
しかし1度契約を結んだ代理母は出産後子供を手放すのを拒否した
素朴に契約を絶対視すれば自発的に同意した契約なのだから守られるべき
以下反対意見
同意に瑕疵があるならば履行されるべきでない
強制あるいは情報の欠如
非人間的だから
以下の最高裁の判決に続く
結果
下級裁判所は法的契約力を認めた
交渉力に偏りは無く、強制力も認められない
最高裁は法的契約力を認めなかった
離婚扱いとして父親に親権を認め、代理母に訪問権を認めた
母親は子どもとの絆の強さを知る前に変更不可な約束をさせられている 彼女は完全な情報を与えられた上で決断したのではない なぜなら赤ん坊が生まれる前には最も重要な意味において情報は与えられていないからである
加えて人間を市場原理に載せる事に反発する2つめの意見を述べた
これは子どもを売るのと同じ 少なくとも母親の子どもに対する権利を売るのと同じである
参加者の動機がどのような理想主義であれ利益を得るという動機が優位になり最終的にはこの取引を支配している
インフォームドコンセントが成立しようが行ってはならない取引があると最高裁は主張している
同意のまとめ
同意が真に自由にならない状況
合意するように強制された、あるいは圧力を掛けられている
十分な情報が与えられていない
2つめの問題点についてはどう考えるべきか?
親として子に感じる愛情がどんなものであれそれを抑圧するよう代理母に求めれば出産を譲渡できる労働に変えてしまう
なぜなら 出産を妊娠に対する社会の慣行が正しく奨励している目的 すなわち子どもとの情緒的なきずなから切り離してしまうからだ
ある種のものはそれをオープンに利用可能にしたり、それから利益を得てはならないとした
2つの例題の問題点は実は同じ点を指摘している
効用や市場原理に基づく利用が常に物事を評価する正しい方法なのか?
もしそうでないなら何に拠ってそれらを評価すれば良いのか?