『「超」文章法』
第1章 メッセージこそ重要だ
メッセージは広く浅くよりも狭い方が具体的でピントが合う
「あるもの」を示すよりもそこに「ないもの」を示す方が難しい
難しいからこそプロの視点になる
タメになる、あるいは面白い発見がメッセージになる
第3-4章 骨組みを作る(内容面のプロット;形式面の構成)
物語には骨組み(ある種のストーリー)があるように、論文にも骨組み(パターン)がある
最初に言い訳をすると、読者は離れていってしまう
「私はこの問題の専門家では無いのだが」「変わり映えのしない話で恐縮だが」「既にご存知でしょうが」
こういった話は語り手の逃げの姿勢であって、必要な言葉ではない
第5章 筋力増強―説得力を強める
第5−6章化粧する(わかりにくい文章と闘う:100回でも推敲する)
第7章 始めればできる
自分自身と対話する
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ベストセラー『「超」整理法』をはじめ、数々の著書で知られる野口悠紀雄が、読者を引き付け、自らのメッセージを印象的に伝えるための文章術をまとめた1冊。
ほかの著書と同様、今回も構成や内容がじつに詳細に吟味されており、文章において「八割の重要性をもつ」というメッセージの探し方・磨き方から、文章の「骨組み」の作り方、比喩や引用・具体例などの「筋肉増強」法、わかりにくさを排し、読み手の心理に配慮するための「化粧」の仕方までが、じつに上手にまとめられている。とくに、反対概念や対立概念を示すことによって元の概念の性格を明らかにする、といった工夫や、1文1意主義(著者は1パラグラフ1意主義を説く)、「ドラマチックに始め、印象深く終えよ」といった教訓などは、文章を書く際に常に意識しておきたいところだ。テクニック面においても、抽象的な概念を伝えるために名前をつける、さまざまな事象を人の身体や自動車などにたとえる、引用句辞典を使って巧みな引用をする、といった豊富な内容が盛り込まれている。
最終章で述べられている心構えや具体的な作業法については、著者の趣味が反映されていることもあり、読者によって是非が分かれるだろうが、全体としては文章作成のツボをうまく押さえており、参考になる。メッセージの新鮮さから論理構成、修辞、文章の推敲法まで、じつにさまざまな視点に配慮した1冊である。(土井英司)