幸せの、忘れもの。
https://scrapbox.io/files/6a13bf6665e24daf8cb56b0b.png
ろう者の物語。加えて、倦怠カップルものでもあるので、好物の上に好物、ハンバーグカレーみたいいな映画だった。愛は静けさの中にの中で、聴者の彼氏が「俺たちはこれから何でもできるさ AHAHA、何がしたいか言ってごらんYO」と言われて、マーリー・マトリンが「私、子供が欲しいわ!私と同じ耳が聞こえない子供が欲しい!」と無邪気に答えると、彼氏は「OK、わかったわかった、しかし俺にも同じことを望めっていうのかい?そいつはちょっと酷だZE、AHAHAHA」みたいな、幸せいっぱいムードの中でなされる会話のくだりがあるんだけど、まさにその部分を考えさせてくる映画。ろう者と健聴者が結婚して、健聴者の子供を産んで、ろう者が社会から少しずつ、迫害されていくっていう。迫害というのは言葉が強いかも知れないが、しかし迫害なのでそう言うしかない。社会は健聴者のために作られていて、無意識でろう者を迫害している。健聴者の文化とは全然違うろう文化というものがあるので、そういう、世界が二つあるということを認識した上で、その二つの世界が現実では同じ土地・区画の中で暮らしていかなければならないので、別れたままでいいというのではなくて、互いに尊重して接続できるように工夫していかなければならない(誰)。 序盤の出産シーンがかなり迫真で、自分はちょっと正視するのがつらい感じだった。出産、大変すぎる。あと、後半、アンへラの世界を再現する音響になるのは、私たちの話し方と同様で、難聴者の聞こえ方を再現しようとする試みで、とても面白かった。同時に、難聴者の聞こえ方を再現するのは、難聴者に確認する方法がなくて、究極的には無理なことなので、業、傲慢のようなものも感じてしまいそうになる。でも、この世界には想像力で立ち向かっていくしかないので、そういう「倫理的にどうなんですか?」という内なる声や外なる声は無視して、想像しながら作っていくっていう試みはトータルでめちゃくちゃ支持していきたい。 邦題は意味がわからない。読点(、)いらんだろうし、句点(。)もなんなんだ、バカっぽくてよくない。見終わった後でなお、タイトルが何を指しているのかよくわからない。この映画、俺は私たちの話し方よりも好きで、もっと広く見られるべきと思うんだけど、5月1日上映開始で、1ヶ月経たずに都内で1館(シネスイッチ銀座)だけになっており、一ヶ月いくかいかないかで終映しそうな雰囲気を感じて残念。邦題のよくわからなさは、引きの弱さとして一つの要因じゃなかろうか。コーダ あいのうたはコーダで大ヒットしたわけだし、「デフ ほにゃららら」みたいな、副題としてポエティックなフレーズ(これが難しいんだろうが)を添えるっていうのもありだったのでは。 聴こえない世界に生きる女性とその家族の物語を繊細な筆致で描いたスペイン映画。 ろう者のアンヘラと彼女に優しく寄り添う夫エクトルは、手話というかけがえのない言葉で心を通わせている。陶芸工房で働くアンヘラは、心地よい土の匂いと気を許せる仲間たちに囲まれながら、静かで平穏な日々を過ごしていた。しかし、ある“幸せな出来事”をきっかけに、彼女の日常は少しずつ壊れはじめる。疎外感に揺れながら、聴こえない世界とその外側で見え隠れする“本当の幸せ”をつかまえようとするアンヘラだったが……。 劇作家・社会学者としても活動する新鋭エバ・リベルタ監督が、2021年に手がけ高く評価された短編映画「Sorda」をもとに制作。ろう者の俳優でリベルタ監督の実妹であるミリアム・ガルロを主演に迎え、監督と妹自身の長年の実体験を反映させながら、ろう者と聴者とのわずかなすれ違いや、それぞれが抱く異なる疎外感を映し出す。2025年・第75回ベルリン国際映画祭にてパノラマ部門の観客賞とアート・シネマ賞、第28回スペインマラガ映画祭にて「金のビスナガ(最優秀作品賞)」および観客賞・主演女優賞・主演男優賞などを受賞した。 監督
製作
製作総指揮
脚本
撮影
編集
音楽