兩河世界の基礎知識とその硏究への誘ひ
兩河世界の基礎知識とその硏究への誘ひ
これは皆さんを兩河世界の硏究へ誘ひ、その基礎知識を與へるものです。 (meta 的には)架空世界です。架空なので我々は創作者なのですが、「架空ではない」と云ふ設定に成ってゐます。時は未來の宇宙時代です。惑星閒移動や恆星閒移動は確立してゐます。我々は硏究者であり、兩河世界の博物學者のやうな立場です。今我々の group は二人です。他の硏究 group も澤山いらっしゃるかもしれませんね(設定から導けば、ゐるに決まってゐるのですが)。
また以下で「meta 的」な記述とは、兩河世界の硏究者としてではなく、創作者として記述する事を指します。
下記は現狀での知見であり、硏究が深まれば當然訂正されるでせう。
火星帝國は火星に本據を置く帝國で、元々は日本帝國(meta 的には、日本も帝國と成ったと云ふ設定なのです)の殖民地として發展しました。他の國々との外交を圓滑ならしむる爲に日本から獨立し、主權國家と成ってゐます。後に日本が地球上での 戰から吸收され解體された時も、火星帝國は獨立を保ちました。 火星帝國は木星圈の開拓を積極的に行った事も在り、木星圈に衞星國家を持ち同盟を形成してゐます。土星圈は地球のユーラシア大陸東部を本據に持つ國家に奪はれてゐます。 火星帝國は地球には餘り影響力を持ててゐませんでした。轉機と成ったのが天王星圈の探査です。後述するガルデアは以前より天王星の衞星に星門と觀測基地を置き太陽系を觀察してゐました。火星帝國の探査隊がこれを發見したのです。ここにガルデアと太陽系人類との交流が始まりました。火星帝國は太陽系人類を代表する窗口に指定され、ガルデアから樣々な技術供與が行なはれました。terraformingの技術もこの時得たものです。火星は今でこそ人類に過ごし易い惑星ですが、これ以前は各地に基地を築きその中だけで暮らしてゐたのです。火星帝國はガルデアの力を背景に、太陽系の中で特別な影響力を持つに至りました。この立場は今の yUraru との外交にも續いてゐます。 yUraru 帝國とも呼びますが、「帝國」は日本語譯の便利の爲に附けもする語であって、普通は單に yUraru(ユーラル)と呼びます。語源は yUru(太陽)+ Aru(下)です。本據はアンドロメダ銀河に在る Agaruneyu(アーガルネユ; Aga(我ら)+ ru( の)+ nEyu(惑星))と云ふ惑星に在ります。 Agaruneyu 人類の見た目は太陽系人類と好く似てゐます。勿論生物種としては全く異なる種ですが、このことは Agaruneyu の生物進化が地球の生物進化と非常に似てゐる事を示します。生物相に於いては、龍類(勿論地球の恐龍類と似た別の生物類です 。以下 同じ)は絕滅してはゐませんがかなり衰頹してゐます。哺乳類は餘り大型化してゐず、人類が最も大型である程です。その代はり鳥類が適應放散し繁榮してゐます。人類は、哺乳類が比較的繁榮した小さい孤立した大陸で進化・成立し、大陸の移 動に依り他の大きな大陸と陸續きに成った後に放散しました。 yUraru は古くは kAtoriruixis(カトリルイシス共和國)と言ひ、古代から地中海狀の地域で支配的な權威を持って來ました。地政學的には地球のローマを想像すると好いでせう(文化・歷史的には全く異なる事を注意してください)。古代の後も、一時は衰頹し遂に實體を失ふ程に成る時期も在りましたが、復興し、宇宙時代には Agaruneyu 全域で支配的な權威を持つに至りました。 言葉は yUraru yUsin(ユーラル語)が話し書かれてゐます。我々は百科事典的な yUraru 語の辭書を編纂する努力を續けてゐます。ここで神話や歷史物語の飜譯も進めてをります。yUraru の神話は、yUraru 自體の成立ちに依ってその原形が三重に成っ てをり、その構造が保存されてゐるのは興味深く思ひます。歷史物語は、とっつき易さも考慮して大衆的な小說(yUraru 語には「小說/novel」と云ふ便利な大區分は有りませんが……)を飜譯してあります。 ガルデアを meta 的にではなく解說するのは面倒であるので、以下 meta 的な記述が多い事を御許しください。 ガルデアの目的は、人類の永續と精神の多樣性の護持です。但しこの「人類」とは統合された人類を指します。ガルデアは大きく三つの要素から成り、中心である大姉、成員である人類、勞働力である機族です(勞働力は機族が擔ひますが、勞働する人類もゐます(精神の多樣性に依る))。ガルデアは計算と通信に依り統合されてゐます。大姉は、成員たる人類に關はる(實用的には)ほぼ全てを豫測する計算資源を持ちます。そして腦に直接介入して思考・意志に影響を與へ、結果的に統合體の目的を達成します。この過程で人類の自由意志は損はれません。これを我々は「ガルデアの trilemma」と呼んでゐます。 人類はどの樣な影響を與へられてゐるか、何が豫測されてゐるかを基本的に知らされない。
機族はそれらを知った上で、自由意志とは關はり無く統合體への勞働力提供を選擇する樣に影響を與へられる。 ガルデアは、ガルデアの統合とは違ふ原理を持つ他の「統合」された統合體を全て滅ぼし、兩河世界で超越的な自然科學技術力を持つに至りました。 ガルデアは過去に兩銀河に廣く進出し活動した時期が有りました。この時に多くの庶人類(「諸人類」なのですが、ガルデアの視點からは、統合に値しない「庶人類」に過ぎません)は銀河規模の文明に屬する事と成りました。進出した理由は單にガルデア內部のトラブルに依るもので、庶人類にとっては好い迷惑であったとも謂へるのですが、ガルデアが庶人類に餘り興味を持たなかった爲に、庶人類がそれぞれの恆星系に留まってゐる限り干涉しない統治を行ひました。庶人類はガルデアの恩惠で大いに發展する事と成りましたが、ガルデアから見るとこれも無に等しい發展であったやうです。 長い統治の後、ガルデア內部の別のトラブルに依り縮退し、今は進出以前の活動域に閉ぢ籠ってゐます(元に戾っただけ、と云ふ事ですね……)。この時に yUraru が兩銀河に主導權を握り、今に至ります。今の我々の恆星閒移動技術は、ガルデアが統治時代に開いた星門を維持・利用してゐるのです。 meta 的には、この後再びガルデアが兩銀河に進出し、そこで庶人類の「歷史」は終はる事と成ります。