戦略の中心にOODAループがあるとすると、最も敏捷性が高いユニットは明らかにAIである。
from 戦略とはインスピレーションによって生まれるもの
戦略の中心にOODAループがあるとすると、最も敏捷性が高いユニットは明らかにAIである。OODAループを組織全体に適用することに関しては批判も少なくないが、批判的な意見であっても、少なくともOODAループは小隊以下の規模では有効であるとされている。DXの例で出したような自動契約と自動営業以外にも、もっと根本的に営業の質を高める可能性がAIにはあり得る。
非常に重要なのは、「なにかのサービスを買いたい」と考えている見込み顧客は、実際には自分が何を必要としているのか理解していないという可能性が高いという事実だ。
たとえば、大昔、インターネットが流行り始めた時に電気屋さんに「インターネットください」と言ってきたおじさんがいた、という笑い話があるが、この逸話の本質は「インターネットは電気屋で買える」とおじさんが認識していたことである。もちろんインターネット「を」買うことはできないが、「インターネットください」と言ってくるおじさんに必要なのはモデムとプロバイダー契約だということは誰でもわかる。そして電気屋に買いに来るのは実際には正解なのである。
このとき、お店は何を売るべきだったろうか。
そもそも「インターネット」がなんなのかよくわかっていないおじさんなのだから、パソコンも持っていない可能性がある。設置サービスも買うかもしれない。デスクトップは初心者には邪魔だろうから、ノートパソコンとモデムとプロバイダー契約を売るのが普通だが、ノートパソコンを仕舞えるケースとか、ノートパソコンが入るバッグなんかも買ってくれるかもしれない。なんなら初心者向けパソコン教室に入会してもらうのはどうだろうか。そもそもこの人はなぜ「インターネットが欲しい」などと荒唐無稽なことを思ったんだろうか。遠く離れた息子夫婦とテレビ電話でもしたいのか。それとも新しい趣味を探しているのか。テレビ電話ならヘッドセットとカメラも必要だ。新しい趣味としてなら、囲碁や将棋のゲームソフトを勧めてみてはどうだろう。
営業担当者の想像力
清水 亮