戦略、作戦、戦術、兵站におけるサブ構造
from AI時代のOODAループと戦略
実はこの構造は実際的にはサブ構造を持っており、階層的に何段も重なっていると考えられる。https://gyazo.com/3461bc6cf29e2700b2d4754cac333fc0
つまり全体戦略と全体作戦があり、全体作戦が戦術レベルに落とし込まれた先に、現場戦略があり現場作戦があり現場戦術がある。実際の戦闘(たとえば営業活動)では、さらに局面ごとの戦略と作戦と戦術があるという構造になる。この全体を支えるのが兵站だ。
この構造を成立させるためには、組織にOODAループが浸透している必要がある。OODAループとは、観察(Observe)、姿勢(Orient)、決定(Decision)、行動(Action)の四つのプロセスを繰り返す階層的な構造で、アメリカ空軍で考案され、その後アメリカ軍全体に浸透した考え方だ。成功している組織はそれと意識していなくてもOODAループの階層構造を持っている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/OODAループ
OODAループはできるだけ高速に回転することが望ましい。どんなチェスの名人であっても、一度に二手指せる相手に勝つのは難しい。つまりOODAループにおいては敏捷性(アジリティ)こそが組織の強さの源であり、いかに敏捷性を高めることができるかが肝要である。こうした組織では、専ら敏捷性を高めるために兵站は集中されるべきだ。OODAループが「機動戦ドクトリン」と呼ばれる所以でもある。
企業戦略が軍事戦略から派生したように、軍事上有効と知られている戦略はビジネスにも応用できると考えるのが自然だ。実際、OODAループと類似した構造は成功したどの企業にも見られる。
たとえば、マイクロソフトは常に担当者が少ない。日本国内でAI関連のエヴァンジャライズ活動をしているのはおよそ二名であり、それぞれが独立して判断し決定できる。つまり「一人のリーダー」を最小のOODAループとして、チーム(課)、グループ(部)、そしてカンパニー(会社)を構成している。ちなみにcompanyとは、米軍では小隊(platoon)を束ねた中隊を意味する。
中隊規模でも小隊規模でもそれより小さい分隊規模でも戦略があり、作戦があり、戦術がある。このように階層的に重なっている。
そしてあらゆる戦略は兵站によって支えられている。
清水 亮