無修正ポルノが製造できるAIを日本企業がローンチしたら刑法175条で刺せるのか考えてみた
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きっかけはこのツイート
@alfredplpl: Novel AI Diffusion に関してはっきり言うと、日本だったら刑事事件として検挙される存在なのに、国外にいるから捕まえられないという存在で、カルロスゴーンよりも真っ黒な存在です。それを肯定する方が難しいと思います。 前後のツイートで刑法175条の話をしていたのでその文脈と受け取った
刑法175条的な観点のみに絞ると米国では合法だろう
日本での利用も刑法175条的な観点では合法
何がカルロス・ゴーンより真っ黒と言っているのかは不明
カルロス・ゴーンは金融商取引法違反もろもろの容疑だがレバノンに逃げていて公判ができない
日本に来ればほぼ間違いなく有罪になる
Novel AIとその利用形態は法的には合法だし逮捕も起きてない
法令遵守の観点だけでも全く逆に感じる(カルロスゴーンの方が真っ黒、ならわかる)
@motoso: 刑法175条は頒布だから自前で製造しても何の罪にもならないけど、ユーザーが工夫したら無修正エロが作れる画像生成サービスを日本企業がローンチしたら刺せるのかな?直感的には刺すべきではないと思うけど刺せそうな気もする Scrapboxの方が議論しやすいのであとで転記する
・規約で禁止
・NSFWフィルター
・通報
とか完備してれば、管理者責任的にOKになるし、刑法175条とかも踏まない気がする。たぶん。正式には弁護士さんの見解が欲しいけど、プロバイダ責任法とかと同じ感じじゃないかな。
この辺りが落とし所だと思う
ご参考に、現状の私の理解をまとめました。ただ、一般的な法律相談を3回やったのみで、詳細な調査依頼はまだ実施できていません。(お金がなく)そのため、本文章は参考程度に扱っていただき、必要に応じて、別途弁護士にご相談いただければ幸いです。
https://pbs.twimg.com/media/FjhTnjEakAAuU9J.png
ヒンwogikaze.icon
法律はさっぱりわかんにゃいですが、完璧に地産地消できるようになれば、ポルノとしてはかなりクリーンなものになりそうなのになあnomadoor.icon
まあ、制作物を共有する人間がいないハズもないんですがね……
@tka0120: わいせつ画像を出力する可能性が高いAIモデルを公開・提供したり、同モデルを利用したサービスを提供する行為は、わいせつ物頒布等罪(刑法175条)に該当するか。 *以下日本法を前提とします。
まず、前提として、刑法犯には、①「犯罪を自ら直接実現する」(「正犯」)、②「正犯をそそのかして犯罪を実行させる」(「教唆犯」)、③「正犯による犯罪の遂行を援助・補助する」(幇助犯)があります(「正犯」には2人以上共同して犯罪を実行する「共同正犯」もあるのですが、割愛します。)。
で、刑法175条は「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」について「頒布し、又は公然と陳列」したり(同条1項)、販売目的で所持する行為(同条2項)を「わいせつ物頒布等」として処罰対象にしています。
以上からおわかりのように、この問題については、AIモデルの公開・提供等が、わいせつ物頒布等罪の「正犯」に該当するか、と「幇助犯」に該当するかを区別して議論する必要があります。
1 わいせつ画像を出力する可能性が高いAIモデルを公開・提供したり、同モデルを利用したサービスを提供することは、わいせつ物頒布等罪の「正犯」に該当するか。
この点については、わいせつ画像を出力する可能性が高いAIモデルが「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」に該当するかが問題となります。
刑法は刑事罰という重大な制裁をもたらすか否かのルールですので、その解釈は厳密である必要がありますが、「わいせつな画像を出力する可能性が高いAIモデル」が「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」に該当するというのは、日本語からするとかなり無理があると思います。
また、性的秩序・風俗を保護するという見地からは、「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物」というのは、それらの文書等に接した人間が、当該文書等のわいせつ性を認識できる必要があります。
わいせつ性を認識できなければ性的秩序・風俗は害されないからです。
しかし、AIモデルの場合は、モデル内にわいせつ画像が蓄積されているわけではないので、人間がAIモデルに接したとしても、わいせつ性を認識できません。
したがって、その意味においてもAIモデルが「わいせつな文書・・」に該当すると解釈することはできないと思います。
ちなみに、面白い判例がありまして、「わいせつ画像にマスク処理がされていても、マスク外しによりマスクを取り外した状態の画像を復元・閲覧しうる場合」に、「マスク処理した画像」が「わいせつな文書・・」に該当することを認めた裁判例があります(岡山FLマスク事件・岡山地裁平成9年12月15日)。
しかし、この事件は、元になるわいせつ画像が存在し、当該わいせつ画像について、誰でもが容易にマスクを外して閲覧できる状態になっていた場合に、マスク処理した画像のわいせつ物性を認めたに過ぎません。
AIモデルの場合は、モデル内にわいせつ画像が蓄積されているわけではありませんから、この判例を前提にしても、やはりモデルが「わいせつな文書・・」に該当すると解釈することはできないと思います。
以上より、AIモデルの公開等は、わいせつ物頒布等罪の「正犯」には該当しないと考えます。
2 刑法175条の「幇助」に該当するか
次に、AIモデルの公開等が刑法175条の「幇助犯」に該当するか、です。
「幇助犯」は「正犯」の存在を前提としますので、「AIモデルの開発」や「AIモデルの頒布」だけで即「幇助犯」に該当することはありません。
「AIモデルを使ってわいせつ画像を生成した奴(正犯)が、当該わいせつ画像を頒布等した」場合に、初めて当該AIモデルを頒布した者の「幇助犯」成立の有無が問題となります。
こっちでも意見をもらえた基素.icon