論証の教室
論証についての書籍
特に非形式論理学 (informal logic) について
入門編は明らかに入門書
シリーズを予定している
『入門編』→『基礎編』
論証の教室〔入門編〕:インフォーマル・ロジックへの誘い - 新曜社
ISBN: 9784788517592
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以下読書メモ
入門編
第1部
論証の構成要素
前提
結論
支持関係
論証の評価基準
演繹的妥当性
帰納的強さ
強度?wint.icon
第1章
論証の定義
ref. (p. 3)
ref. (fig. 1.1.1; p. 4)
論証は命題の集まりのサブクラス
特定の構造がある
命題の定義
「問われ得る」という言い回しが玄妙wint.icon
fn. 言明の方が良いらしい
排中律を採用する
例
平叙文は命題・言明を表現する
疑問文はしない
感嘆文もしない
自由変項があるとダメ
束縛変項ならよし
cf. 続編『基礎編』
用途
主に主張
たまに仮定
推論
訳語としては、 reasoning でも inference でも良い(合流した)。
理性の reason
≒ 論証
↑タイトル回収wint.icon
根拠、証拠、エビデンス、理由: evidence
理性の reason ではない
違い
推論は活動に焦点
おそらく心的というよりシンボリックwint.icon
論証は対象に焦点
特に言語的な対象
"stated by …"
論理学は論証を介して推論を研究する分野
via と言えそうwint.icon
ref. ウェスリー・C.・サモン
同定の練習と解説
事実
前提は1つかそれ以上の有限個あればいい
この有限性は証明の特徴wint.icon
cf. 証明の有限性
不合理でも、支持しようとしてるならば、論証である
単にうまく行ってない、下手、失敗した論証であるだけ
間違い可能性を捉えられてるwint.icon
cf. 本来の機能wint.icon
言語的表現
接続表現
前提表示語
∵
なぜなら(ば)、というのも
for, since
結論表示語
∴
ゆえに…
…からだ
so
therefore
cf. paragraph writingでは接続語が重視されるwint.icon
§1.2 論証の構造
前提同士の関係
独立、非独立
現実的には高々4つだと推測されるwint.icon
cf. マジカルナンバー4
部分論証 (subreasoning)
暗黙の前提
自明すぎて省略されたり忘れられたり
論証の評価
支持関係の強度
形式論理学はこっちだけ
内容は考慮しない
前提の真偽
非形式論理学ではこっちも
内容を考慮する
非形式論理学 (informal logic)
vs. 純粋な形式論理学
前提は不問
ref. (§1.2.3, p. 20)
第2章 論証の評価
論証の良し悪し
中立的な話
良い論証:サポートがしっかりしてる
根拠関係 (evidential link)
max = 演繹的に妥当な論証
妥当性 = 演繹的妥当性
i.e. 偽だと言うことが論理的に不可能
min = 0 = 無根拠、だろうwint.icon
演繹論理 (deductive logic)
= 狭義の論理学
演繹で推論するwint.icon
帰納論理 (inductive logic)
= 広義の論理学の一種と言える
非形式論理かwint.icon
帰納で(も)推論するwint.icon
妥当性ではなく帰納的な強さ (inductive strength) で評価する
つまり非妥当な論証を ふくむ。
それでも有用な論証を あつかえる。
帰納的に強い論証 (inductively strong argument)
定義
難しい
例
probable to be true = improbable to be false
そのうえ非妥当
コメントwint.icon
非妥当によって演繹論理を除いて、プロパーな帰納論理に限定してる。
さもなくば、演繹論理⊂帰納論理。
しかし、演繹論理∪帰納論理⊂一般論理だろう。
確からしさの度合い
質的、量的
確からしさで順序付けることができるだろう
信念の度合い
cf. 条件付き確率、主観確率
演繹論理
真理保存的 = truth-preserving
guarantee
情報量は増えない
つまり演繹しかしてないwint.icon
帰納論理
前提の正しさが結論の正しさを保証しない
→ しかし、同時にこれによって新しい情報が得られる
知識を拡張する
欠点であり利点であるwint.icon
どう整理するか
独立してて並立してる
非連続
二分法
一元的に連続的に扱える
ref. (fig. 2.2.2; p. 37)
グラデーション、スペクトラム
table:degree
{1} deductive
(0, 1) inductive
{0} worthless
§2.3 健全性と信頼性
(典型的な)論理学者は(フツーは)論理の形式だけしか興味がない
i.e. 形式論理学
なら非形式論理学では?
健全性 / soundness
定義略
∈演繹
用語が衝突してるwint.icon
信頼性 / reliability
定義略
∈帰納
同上wint.icon
反論の技法
支持関係に着目して反駁する
通常の論理学では これのみ
前提に反論する
非形式論理学では 前提の真偽も あつかう ので
第3章
論証形式の代表例をあつかう
以下は どれも論証
§3.1 演繹
modus ponens
= 前件肯定
vs 後件肯定の誤謬
ref. 後件肯定 - Wikipedia
modus tollens
= 後件否定
vs 前件否定の虚偽
ref. 前件否定 - Wikipedia
ref. 前件否定の虚偽とは - コトバンク
disjunctive syllogism、選言的三段論法
§3.2 帰納
abduction、最良の説明への推論
#TODO
仮説検証型論証
「仮説検証論証」で良いのでは?wint.icon
これは後件肯定の誤謬に等しい
しかし典型的な科学的推論でもある
帰納的な強さを主張してるため
帰納的一般化
aka. 枚挙による帰納とも
i.e. 個物から全体へ
↔ proportional syllogism
比率的三段論法
i.e. 多数派(少数派)から個物へ
上の逆
類比による論証
要はアナロジー #analogy
類比は類似性に依拠している
第二部
abduction
仮説演繹法
反証主義
vs 仮説検証型論証
第4章 アブダクション
abduction
別名: 最良の説明への推論
ここではパースの仮説選択の論理のみ扱う
観察された事実 → 仮説形成
選択の根拠?
検証しなくても良い
プロセス
生成→批判→受容
最良から真理への飛躍
(この本では)帰納なので
仮説とは説明仮説のこと
良さの基準
6点: 省略
cost–benefitも要考慮
第5章 仮説検証型論証
検証の問題
仮説
→説明
→予測能力
こっちwint.icon
予測とは?
経験的な検証が必要
さしづめ“仮説帰納法”
証明でなく確証される(語用論)
科学での利用例
論証形式
全体が帰納
部分的に演繹を使う
仮説が全称命題だから
vs 反証主義(by ポパー)
反証は演繹論証
他の反証
(H∧I)→C, I, ¬C ⊢ ¬H
ポパー「仮説が corroborate される」
帰納の問題 by デビッド・ヒューム
ポパー「解決した」
できるのか?いや、できない。
帰納的な論証は反証されない。演繹じゃないので。
せいぜい、偽だろう、くらい。
不確証
反証の代わりの概念
帰納的な概念
確度が下がるだけ
演繹主義の反証主義はムリだろう
cf. 戸田山和久の科学哲学の教科書
第3部「演繹と定義」
第6章は形式論理
第7章は定義について
補論1はその解説
第六章
論理語
独自用語。形式言語と言うと分かりやすい。wint.icon
第7章
定義とは、語の定義
意味は語にあって、対象にはない。定義しない。
広義には ないでも ない。
概念の定義はあり。
cf. モデル理論wint.icon
意味の等価性wint.icon
外延 vs 内包
内包の優位性
必要十分条件
ただし、定義・被定義の左右の区別は必要
拙い定義への反論
only if の難しさ
iff の後半
要は含意wint.icon
概念分析
e.g. 知識の概念分析
定義と概念とがパラレル
補論1
定義概念
定義は論証を構成する部分ではない
定義は恣意的なので
定義は宣言であって、記述ではない
cf. 辞書
要は命題ではない
例外的に、定義が議論になることも
つまり部分になる
評価される・されない
類別6種類
割愛wint.icon
理論的定義
説得的定義
cf. 弁論術、修辞法wint.icon
第4部「帰納」
帰納的一般化
比率的三段論法
類比論証
誤謬推論の見直し
権威論証
対人論証
第8章
広義の帰納的推論 (inductive inference)
狭義:特殊から一般へ
よく知られた方、正統
§8.1
枚挙からの帰納
統計的一般化
統計を使う
cf. 推測統計学
どちらも固有の注意点がある
どちらも部分から全体
§8.2
比率的三段論法
全体から部分
比率を含む
cf. 情報量wint.icon
五分五分のときは、 1 bit - 1bit = 0 bit と思いたくなるwint.icon
確率の場合
参照クラスの問題
要は個性があるwint.icon
§8.3
類比(アナロジー)
類比による論証
既知から未知へ
ここが帰納と共通
過去から未来へ
基準
事例の数
共有する性質の数
関連性
因果関係
物理的な理解?wint.icon
多様性
不類比
補論2
誤謬?
権威に訴える論証
良い人⇒真
対人論証
悪い人⇒偽
権威に訴える論証
専門家の専門性
という権威
そこからの信頼性 reliability
比率的三段論法の一種
cf. 素朴統計学
誤謬
専門外
誤用
定説でない
対人論証
en: ad hominem
表記ゆれ:人格攻撃、人身攻撃、個人攻撃
メタなモノも ある。
第5部
因果と相関
第9章
ミルの方法:5つ
9.1
因果推論
実践知を得たい
事象について
必要条件・十分条件
9.2 ミルの方法
一致法
原因の候補をあげたい
結果は割愛
先行する因果関係は考慮したい
消去法は使える
必要条件の探索
十分条件だとは限らない
差異法
消去法
十分条件の選別
時系列の比較も利用できる
比率を利用して拡張する
組み合わせ法
上2つの合せ技
必要十分条件の選別
消去法が使える
nor
9.3
消去による帰納
上の3つのテスト
これらは因果推論の1種
特有の困難も同様
10「記述統計学と論証」
統計学
記述統計学
推測統計学
cf. 存在論
→ 待て続編
データの定義
観測値、測定値
観察データ、サンプル(の値)wint.icon
ここでは統計に入門してる。
平均と分散
線形変換も
スケール不変にする: 分散 → 標準偏差
相関分析
相関係数と共分散
R(x,y)=Cov(x,y)/Std(x)/Std(y)
スケール不変にする: 共分散 → 相関係数
相関係数(量) → その評価(質)
相関と因果
相関関係と因果関係との混同
e.g.
交絡因子
逆の因果
偶然
因果の条件?
候補
相関
処置-効果関係
まだギャップがある
記述統計学という方法論⊂データ一元論⊂実証主義
あまり因果に興味なさそう
因果推論の方法論の候補
RCT
因果推論の基礎: 反事実
しかし本質的に観察不能
→ 漸近する、代用する
e.g. RCT
cf. 可能世界
おわりに
おさらい
論証分析
論証評価
定義の確認
仮説の方法論
データの利用
→ 生産的に
民主的になるのに役立つ