禅と暮らす一週間。体験記 三日目 2024年秋
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龍雲寺 涅槃堂
はじめに
お寺での一週間体験記の三日目をお届けします。まだ一日目(初日)、二日目の記事を読んでいない方は、そちらも併せてご覧ください。 朝の様子
前日はよく眠れたのですが、この日は悪夢を見てしまいました。滅多に夢を見ないか、記憶に残らない自分が悪夢を見ると言うのは、もしかしたらそれなりに疲れが溜まっていたのかもしれません。でも、前向きに考えるように心がけました。寝坊はせず午前6時前には起きることができ、新しい一日のスタートを切れました。この日から朝の日課として、部屋の掃き掃除を始めることにしました。
火曜日からは朝のお勤めが6時半から始まります。気温が下がってきたので、作務衣ではなく暖かい私服で本堂に向かいました。読経では経本を目線まで上げて読む必要があり、腕が疲れてきましたが、最後まで読み通すことができました。
法話では、和尚さんの率直なお話を聞くことができました。このお寺は中級レベルなので上座に案内されることが多いそうです。でも和尚さんは、それを当たり前だと思わないように気をつけているとのこと。ただ、そうはいっても人はすぐにその思いを忘れてしまいます。だからこそ、日々の生活の中で常に考え続けなければならないんだと話していました。また、立場上、厳しい顔をしなければいけない時もあるけれど、できるだけ口角を上げて、ニコニコ笑顔でいるように心がけているそうです。常に不平不満を言い、どんよりした顔の人の周りには人は集まらない。口角を上げていると、不思議と人が集まったり苦が苦で無くなる。「常に口角を上げる」こんな単純なことでと思うかもしれないけど、案外そういうことでどんな問題も解決ができるという話もありました。自分の顔を鏡で見た時に、笑顔で幸せそうな顔をしているか?と意識してみると良いことが増えるかもしれない。そんな簡単なことからでいいから始めてみようと思えるきっかけを与えてくれました。
自由時間の過ごし方
自由時間は読書をして過ごしました。前日の本を読み終えて、次は「禅とジブリ」を読み始めました。普段は本を読むのが苦手なのですが、ここではすらすら読めます。気になったところはメモを取りながら読みました。昨日の朝は天気が良かったので屋上で本を読んでいたのですが、寒くなり、外で読めなくなりました。鳥の声や様子を見ながら本が読むのがとても心地よかったので少し残念に思いました。
前日一緒に水引をした人と話す機会があり、私の作品が評判だったと教えてもらいました。作業に集中していて周りをあまり見られなかったので、もっと他の人の作品も見ておけばよかったなと思いました。
茶道体験
この日の仏教体験は茶道でした。私は以前「お茶を飲むだけなのに、なぜこんなに手間をかけるのだろう」と思っていました。でも実際に体験してみると、禅語があったり、禅の考えに通じる教えが今も変わらずに受け継がれていることを知り、とても惹かれました。
お茶を飲む側も、ただお茶を飲むだけではないことを学びました。一つ一つ違う茶器の形や色を楽しんだり、部屋に飾られた花や掛け軸を見たりして、自然のアンバランスさや手作りならではの不完全な部分に趣を感じます。そうやってゆっくりとお茶を味わい、会話を楽しむ。それが茶道の醍醐味なんだと分かりました。
体験では、先生が野に咲いた花を一輪活けて床の間に飾り、一人一人に合わせて茶器を選んでくださいました。丁寧にお茶を点てていただく様子からは、お客への思いやりが伝わってきました。お茶碗を横から眺めたり、手に取って重さを確かめてみると、想像以上にごつごつして重みがあり、手触り感もよかったです。昨日はひたすら水引を作ることに集中しましたが、今回の体験では先生や参加者との交流ができたことが楽しかったです。
午後の出来事
午後、部屋の窓から景色を眺めていると青空の中に長い雲が一本伸びていました。まるで龍のように見えて、禅堂に来た自分に会いに来てくれたのかのように思えて嬉しい気持ちになりました。普段ならスマホばかり見ていて気づかなかったと思います。これからは空や周りの様子をもっと見るようにしたいと思いました。
夕方の鐘つき
寒くなったため、朝の鐘つきは中止になり、代わりに夕方5時から希望者が鐘をつけることになりました。茶道で一緒だった人と二人で参加しました。
この鐘は地域の時報代わりになっていて、1kmくらい先まで聞こえるそうです。子どもたちもこの音を聞いて帰宅するなど、地域の生活になくてはならないものになっているとのことです。夕方は25回鐘をつくそうで、これは108の煩悩から25個を選んでいるそうです。二人で分けて12回(13回)ずつ鐘をつきました。鐘の音を聞いた子供達が暗くなる前に無事にお家に帰っているといいな、と心の中で思っていました。
一日の終わり
この日も精進料理を食べて、坐禅を組んで一日が終わりました。坐禅が少しずつ心地よく感じられてきました。スマホから離れる生活のおかげか、必要以上に悩まなくなってきた気がします。
振り返り
修行期間も半分が過ぎ、少し慣れてきた頃です。慣れてくると作業的になりがちで、雑になったり、気持ちを見失ってしまうことがあります。そんな自分にならないように、初心を忘れずに一生懸命に目の前のことに取り組むぞと言う気持ちで明日も頑張ろうと思います。
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