発散と収束のリンコグラフィーでの解釈
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リンコグラフィー(Linkography)の文脈での発散思考と収束思考の定義づけが面白かったのでまとめ
KJ法の講演で話した「関係ないグループの間に見出された関係線が大事」という話とリンコグラフィーの「複数のバックリンクを持つmoveが収束的ムーブ」という話、つながるじゃん!と気づいた(この投稿自体が収束的ムーブ)
https://gyazo.com/1328e0689093337fc7270e04ab88b499
move
チェスの「手」に相当する言葉
会話が口頭で物理的に行われているケースでは、人力でビデオ記録を参照しながら文字起こしを分割したりする
これはどこからどこまでがmove?基素.icon
分割したものがmovenishio.icon
チャットとかグループウェアの文脈だとざっくり1投稿が1 moveのイメージで良さそう
moveの間に関係がある時に「リンク」でつなぐ
orphan move
どこともリンクがつながってないmove
孤立したページ
critical move
このクリティカルに「批判的」という意味はない
単に「重要な手」「大きな影響力のある手」
過去の2つ以上のmoveと繋がるのがcritical backlink move
未来の2つ以上のmoveと繋がるのがcritical forelink move
もちろん発話が行われた段階では未来につながるかどうかはわからない
一連の会話を後から振り返った時に「このmoveはcritical forelink moveだったね」となる
「critical forelink moveが発散思考、critical backlink moveが収束思考である」とする
これが面白い。発散と収束についての解像度が上がった
例えば何かについての案だしのブレインストーミングをしているシチュエーションで「Aしたらいいと思う!」「Bがいい!」「Cがいい!」となったとする
これを漠然と「発散した」「発散思考だ」と捉えていたが、この定義に基けばこれは単なるorphan moveの集まり
「Aしたらいいと思う」「AにはBって問題がある」「Aをちょっと捻ってA2にしたら?」という会話がされたとする
これは最初のAが残りの二つから参照されているから発散思考
「Aしたらいいと思う」「AにはBって問題がある」「Aをちょっと捻ってA2にしたらBの問題が解決する!」
これだとAが発散で、A2が収束になる
発散思考が繋がる相手は収束思考?yosider.icon
2つ以上だから必ずしもそうではないか
https://gyazo.com/ebfc5c5323e317c6dfc62cb2ecd43023
このオリジナルのリンコグラフィーは会話を分析しているのでmoveが一次元的に並んでいるわけだが考える花火やマインドマップのように連想のツリーを広げていく場合はどうなるか?
https://gyazo.com/d538cc0ef5935dfea34c9eaab15ac7d4
「枝分かれの親」が発散で、異なる枝をつなぐリンクが収束になる
「グループ境界をまたぐ線に注目することが有益なのはそれが収束思考だからだ」という解釈ができる
発想の累積効果の包括性の獲得は収束思考
枝を繋ぐリンクが収束になる、なにか気になるcFQ2f7LRuLYP.icon
似たような図を昔書いた覚えがあったtakker.icon
引っ張り出してきた
/hub/議論のためのplatform.icon
多くの一次元的なチャットやグループウェアのツリー型の掲示板のシステムに、個別の投稿へのパーマリンクの機能がある
なぜかというと、それがなければ「過去の投稿を指し示すこと」ができなくて不便だから
では、なぜ「過去の投稿を指し示すこと」が必要なのか
「それが収束思考だからだ」という解釈ができる
チャットやグループウェアでこのパーマリンクを分析して「発散思考の投稿」「収束思考の投稿」をハイライトする機能があると面白いかもしれない
議論が盛り上がった後でざっと見たい人に収束思考の投稿を優先して見るビューを提供するとか
Scrapbox
Scrapboxの1ページが行のツリー構造であることを踏まえると
各行がmove
箇条書きで子が複数ある親の行が発散思考
箇条書きで親を先に書いて子を複数書いたら親が発散思考
行リンクを使ってる行が収束思考
リンクを使ってる行が収束思考
Scrapboxの「行リンク」は切り出しなどの作業で壊れてしまうのが問題
収束させる発言が真っ先に壊れる
それを嫌って引用でコピーすることも行われている
デジタルテキストは音声の会話と違ってコピーできるのが良いところ
だがしかしコピーは一方通行で、コピー先からコピー元をたどれなくなるのが問題だな
https://gyazo.com/eb9a148afa5296af85f19de46c2d09bd
行リンクを使ってる行が収束思考とあるけど、普通の内部リンクのこともあるのではと思ったyosider.icon
書いてる時点ですでにリンク先のページが存在すれば収束思考で、空リンクのときは発散思考?
Scrapboxだと発散思考で書かれた空リンクが時間を経て収束思考に変わりうるのが面白いkidooom.iconyosider.icon
空リンクは発散なのだろうかnishio.icon
枝を生やせば発散みたいなイメージだったけど、繋がってからじゃないと発散とは言わない?yosider.icon
発散と収束のリンコグラフィーでの解釈#63d91441aff09e000032cc8a発散思考であることは後からわかる
行がムーブなので内部リンクであっても収束nishio.icon
ページはムーブより大きいし複数人が書く
Scrapboxの場合時系列と記述順が違うこともあるので、単に複数子を持つ箇条書きの親が発散なのかは疑問inajob.icon
切り出し過程で親要素を足して分類したりもする
まぁでも概ね親を書いて、そのあと子を並べるかな、、
いや、Kozaneba使うほどでもない分類作業をやることもあるなぁ
なるほど、親を後から書くケースnishio.icon
それは複数の「過去のムーブ」を参照するムーブだから収束だな
https://gyazo.com/e7c286a27dce1f3abadfeb1f6c3db987
完成した箇条書きの形だけではわからない
「行リンク」に限らずScrapboxで赤リンクが青リンクに変わる時、それは収束思考
Scrapboxは収束ムーブを支援する
自分の現在の思考が収束思考か発散思考かそれ以外かわかることで、なにかメリットはある?yosider.icon
収束思考/発散思考が不足しているなと気づいて、それをしてみるきっかけになる?
「現在の」はそもそも無理、発散思考であることは後からわかるのでnishio.icon
元論文ではアナログの付箋を使うケースとデジタルの付箋ツールを使うケースを比較して、デジタルの方が収束思考のムーブが有意に多いことを示した
一方で発散思考ムーブには有意差がない
これがデジタルツールの有益さを示しているのでは、という議論をしている
この議論はまだしっかりと読んでない
有益な知的生産ツールとはどのようなものか、を考える上で有益な気がしている
共同編集プロジェクトだと、この人は発散につながるmoveが多いとか、収束のmoveが得意とかそういうのがわかるのかな?inajob.icon
直観的にはジャンル×人でこの特性に違いがあるように思う
日記に話題を置いたものの、これはちょっと反応ないな・・みたいな判断に使えるか?
自分はどう判断しているだろう?
発散思考のmoveだったかどうか?
#収束と発散