春の日の光に当たるわれなれどかしらの雪となるぞわびしき
春の日の光にあたっている私ですが、頭に雪が降りかかっているのがさびしいことでございます。
東宮様の御庇護にあずかる私めではございますが、また一つ年を取り髪が白くなるのは避けえず、つらいことでございます。
詞書
二条の后より正月三日に呼び出されたとき、日が照っているのに頭に雪がかかったので詠んだ歌 お年賀の挨拶に参上している
詞書では「二条の后の春宮のみやすん所ときこえける時」とある 御息所は天皇の寵愛を受けている人で、后以外の人を指す ダブルミーニングがふたつある
1. かしらの雪
頭に雪がかかってきたこと
白髪のこと
2. 春の日の光
新春正月三日の春の日の光
…のような、二条の后と東宮の御威光
あなた様の寵愛を受けている私めではございますが…という意味合い
お正月の挨拶で雪が頭にかかったのを、当意即妙の読みぶりで新春を寿いでいる