古今集仮名序の翻刻
こちらより翻刻
適宜句読点を補う
漢文の注はスキップする
まだ読めないので
翻刻が終わったら再度語句調べて読みやすくする
https://gyazo.com/94dc5e5cb8ce5c600fd82123bc9d0d8d
やまとうたは人の心
をたねとしてよろづ
のことのはとぞなれり
ける。よの中にある人
ことわざしげきものな
ればこころにおもふことを
https://gyazo.com/fca74565a400cb6767d2e0b89d9773ed
みるものきくものにつ
けていひいだせるなり。
花になくうぐひす、みづ
にすむかはづのこゑをき
けば、いきとしいけるもの
いづれかうたをよまざり
ける。ちからをもいれずし
てあめつちをうごかし、
めにみえぬおにかみをも
あはれとおもはせ、おとこ
おむなのなか(?)やはらげ
https://gyazo.com/f7d580594ceb6afc754d261cf000c352がわからないcFQ2f7LRuLYP.icon
お(於)+も(毛)?
たけきものヽふのこヽろを
https://gyazo.com/960776dfd0a2d321f9c21a7a448b2a9a
もなぐさむるはうたなり。
このうたあめつちのひら
けはじまりける時よりい
できにけり。しかあれども
(注:あまのうきはしのしたにて、めがみをがみとなりたまへることをいへるうた也)
よにつたはれる事は
ひさかたのあめにしては
したてるひめにはじまり
(注:したてるひめは、あめわかみこのめなり。せうとのかみのかたちをかたにうつりてかゞやくをよめるえびすうたなるべし。これらはもじのかずもさだまらず、うたのやうにもあらぬことゞもなり。)
あらがねのつちにしては
すさのをのみことより
ぞおこりける。ちはやぶる
かみよには歌はもじも
さだまらず、すなほにて
https://gyazo.com/52bb2ecbb89a87ab37ab0c9dde315cbd
事のこヽろわきがたま
りけらし。人のよとな
りてよりぞ、すさのを
(上の注)
古語拾遺を引用している。伊弉諾と伊奘冉が夫婦となったときの話と素戔嗚命の話のようだが漢文が何を言っているかわからん…cFQ2f7LRuLYP.icon) 翻刻だけでもやるべきかもしれない
のみことよりぞみそもじ
あまりひともじはよみ
(下の注)
すさのをのみことはあまてらすおほみかみのこのかみなり。おんなとすみたまはんとて、いづものくにヽみやづくりしたまふときに、そのところにやいろのくものたつをみてよみたまへるなり。
やくもたついづもやへがきつまごめにやへがきつくるそのやへがきを
ける。かくてぞはなをめで、
とりをうらやみ、かすみを
あはれび、つゆをかなしぶ
こヽろことばおほくさま/\
になりにける。とほきとこ
ろもいでたつあしもと
よりはじまりて、年月を
https://gyazo.com/d492e3cb73a4e452da8385325988fcc8
わたり、たかき山もふも
とのちりひぢよりなりて、
あま雲たなびくまでお
ひのぼれるごとくにこの
うたもかくのごとくなるべし。
なにはづのうたはみか
どのおほんはじめなり。
(上の注)
おほさざきのみかどの、なにはづにてみこときこえける時、東宮をたがひにゆづりてくらひにつきたまはでみとせになりにければ、わうにといふ人のいぶかりおもひてよみてたてまつりけるうたなり。このはなは、むめのはなをいふなるべし。
あさかやまのことばヽ、うねめの
たはぶれよりよみて、こ
(下の注: 途中から紙がかすれており翻刻できず)
かつらぎの(?)きみをみちのをくへつかはしたりけるに、くにのつかさ、ことをろそかなりとてまうけなどしたりけれど、すさまじ(...)は、うね(…)けるお(…)かはらけ(…)よめ
のふた歌のちヽはヽの
やうにてぞ、てならふ人の
はじめにもしける。そも/\
https://gyazo.com/a11513afa0c443f8e9b38d26accde622
うたのさまむつなり。
五経のひとつである中国最古の詩集詩経。その詩の分類に六義というのがあって、仮名序の作者はそれにのっとって「和歌も6つの分類がある」と言っている。 詩経における六義
内容別分類
1. 風
2. 雅
3. 頌
形式上分類
4. 賦
5. 比
6. 興
からのうたもかくぞある
べき。そのむくさのひと
つには、そへうた。おほさ
ざきのみかどをそへた
てまつれるうた
なにはづにさくや
このはな冬こもり今は
はるべとさくやこの花
といへるなるべし。
ふたつには、かぞへうた。
さくはなにおもひつ
くみのあぢきなさ
https://gyazo.com/a02c8f5b4501a7baf5a533629cfa6e32
みにいたづきのいる
もしらずて
といへるなるべし。
(下の注)
これはたゞごとにいひて、ものにたとへなどもせぬものなり。このうた、いかにいへるにかあらむ。そのこヽろ、えがたし。いつヽにたゞごとうたといへるなむ、これにはかなふべき。
みつには、なぞらへうた。
きみにけさあした
のしものおきてい
なばこひしきごとに
きえやわたらむ
といへるなるべし
(下の注)
これはものになずらへて、それにやうになむあるとやうにいふなり。このうたよくかなへりともみえず。
たらちめのおやのかふこのまゆごもりいぶせくもあるかいもにあはずて
かやうなるや、これにはかなふべからむ。
よつには、たとへうた。
わがこひはよむともつ
きじありそうみのは
まのまさごはよみつくす
とも
といへるなるべし。
(下の注)
これは、よろづのくさき、とり、けだ物につけてこヽろをみするなり。このうたはかくれたるところなむなき。されど、されどはじめのそへうたとを(...)やうなれば、すこしさまをかへ(...)なるべし。
すまのあまのしほやく(...) (ここから次ページ)いたみおもはぬかたにたなびき(...)けり
このうた(...)かなふべからむ。
https://gyazo.com/beb610576324f7c896b5fe98137aadc1
いつつには、たゞごとうた。
いつはりのなきよなり
せばいかばかり人のこと
のはうれしからまし
といへるなるべし。
(下の注)
これはとヽのほりたゞしきをいふなり。このうたのこヽろさらにかなはず。とめうたとやいふべからむ。
山ざくらあくまでいろをみつるかな花ちるべくも風ふかぬよに
むつには、いはひうた。
このとのはむべもとひけり
さき草のみつばよつ
ばにとのづくりせり
といへることのたぐひなる
(下の注)
これはよをほめて、かみにつぐるなり。このうたいはひうたとはみえずなむある。
かすがのにわかなつみつヽよろづよをいはふこヽろをかみやしるらむ
これらやすこしかなふべ(...)おほか(...)にわか(...)(?)
べし。いまのよの中いろに
つき人のこヽろはなにな
りにけるより、あだなるうた
https://gyazo.com/60552f1534ac5b0bf9190a00d612aa97
はかなきことのみいでく
れば、いろごのみのいへにのみ
むもれぎの人しれぬことヽ
なりて、まめなるところには
はなすヽきほにいだす
べきことにもあらずなりに
たり。そのはじめをおも
へばかヽるべくなんあらぬ。
いにしへのよヽのかみかど
春の花のあした、秋の
月のよごとにさぶらふ
人をめして、ことに
https://gyazo.com/4604e8b673da7020963397fa98a940f5
つけつヽ歌をたてまつ
らしめたまふ。あるは
花をそふとてたよりなきと
ころにまどひ、あるは月
をおもふとてしるべな
きやみにたどれる心ヽを
みたまひ(?)さかしく
おろかなりとしろしめし
けむ。しかあるのみにあらず、
さゞれいしにたとへ、つく
ば山にかけてきみをね
がひ、よろこびみにすぎ、
https://gyazo.com/8f07cc2134cfd90b7e66d55a72fd4ff6
たのしびこヽろにあまり、
ふじのけぶりによそへて
人をこひ、まつむしのね
にともをしたひ、たかさご、
すみのへのまつもあひをひ
のやうにおぼえ、おとこ山
のむかしをおもひいでヽ、
をみなへしのひとヽきを
くねるにも、歌をいひてぞ
なぐさめける。又春のあ
したにはなのちるを
み、あきのゆふぐれにこ
https://gyazo.com/9d64e30c21191fdf5b40c1aa2314cccc
のはのおつるをきヽ、ある
はとしごとにかゞみのかげ
にみゆるゆきとなみとを
なげき、くさのつゆ、みづ
のあわをみてわがみを
おどろき、あるは、きのふは
さかえおごりて、ときを
うしなひよにわび、し
たしかりしもうとく
なり、あるはまつ山のな
みをかけ、野中のしみ
づをくみ、あきはぎの
https://gyazo.com/5ce3748908d82524bb7aea4b7fbda055
したばをながめ、あか月
のしぎのはねがきを
かぞへ、あるはくれたけの
うきふしを人にいひ、
よしのがはをひきて、よ
のなかをうらみきつる
に、いまはふじの山もけぶ(「り」が脱落?)
たヽずなり、ながらのはし
もつくるなり、ときく人は、
うたにのみぞこヽろをば
なぐさめける。いにしへより
かくつたはるうちに、ならの
https://gyazo.com/bc5e55d2f12a9d1d594011e59e22f255
おほむ時よりぞひろ
まりける。かのおほむよ
やうたのこヽろをしろ
しめしたりけむ。かの
時におほきみヽつのく
らゐかきのもと人
まろなむうたのひじ
りなりける。これは、きみ
も人もみをあはせたり
といふなるべし。秋のゆふ
べ、たつたがはにながるヽ
もみぢば、みかどの御めに
https://gyazo.com/978845f72642b286662d66f83112f8b2
にしきとみえ、春のあ
した、よしの山のさく
は、人まろがめに雲かと
ぞおぼえける。又山のべの
あか人というふひとありけり。
うたにあやしうたへなり
けり。人まろはあか人が
まみにたヽむことかたく、
あか人はひとまろがし
もにたヽむことかたくなん
ありける。この人/\おヽきて
(下の注)
ならのみかどの御うた
たつたがはもみぢみだれてながるめりわたらばにしきなかやたえなむ
人丸
むめの花それともみえずひさかたのあまぎるゆきのなべてふれヽば
(次ページ)
ほの/\とあか(...)うらのあさ(...)しまがくれゆくふねをしぞおもふ
赤人
はるのヽにすみれつみにとこしわれぞのをなつかしみひとよねにける
わかのうらにしほみちくればかたをなみあしべをさしてたづなきわたる
又すぐ(?)れたる人も、く
https://gyazo.com/06cb6aed895c8161dad1f15c3914058a
れたけのよにきこえ、
かたいとのより/\にたえ
がたくなむありける。かヽり
けるさきの歌をあはせて
なむ、万えふしうとなづけ
られたりける。ここにいにし
へのことをもうたのこヽろ
をもしれる人、わづかにひ
とりふたりなり。これかれ
えたるところ、えぬところ、
たがひになむある。かのと
しよりこのかた、としは
https://gyazo.com/c274708106926cece102cd2043cd24a6
ももとせあまり、よはとつ
ぎになむなりにける。いに
しへのことをも、うたを
もしれる人、よむ人おほから
ず。いま、このことをいふに、
つかさくらゐたかきを
ばたやすきやうなれば
いれず。そのほかに、ちかき
よにそのなきこえたる
人は、すなはちへせうは、
歌のこヽろはいたれども、
まことすくなし。たとへば
https://gyazo.com/beb6ce3180771ff87ec5597d49b732ab
ゑにかけるをむなをおも
ひて、いたづらにこヽろを
うごかすがごとし。在原
(上の注)
あさみどりいとよりかけてしら露をたまにもぬける春のやなぎか
はちすばのにごりにしまぬこヽろもてなにかは露を玉とあざむく
(詞書)さがのにてむまよりをちてよめる
なにめでヽをれるばかりぞをみなへしわれをちにきと人にかたるな
のなりひら、そのこヽろあまり
てことばたらず。しほ
れるはなのいろなくて
にほひのこれるがごとし。
(下の注)
月やあらぬ(...)むかしのはるならぬわがみひとつはもとのみにして
おほかたは月をもめでじこれぞこのつもれば人のをいとなるもの
ねぬるよのゆめをはかなみまどろめばいやはかなにもなりまさるかな
ふむやのやすひではこ
とばヽたくみにて、そのさ
まみにおはず。いはゞ、あき
人のよきヽぬきたらむが
ごとし。
(上の注)
孫(矩?)或云基泉汀所歌云
このまよりみゆるはたにのほたるかもいさりにあまのうみへゆくかも
(左注)
ふくからにのべのくさきのしほるればむべやま風をあらしといふらむ
(詞書)ふかくさのみかどの御国忌に
くさふかきかすみのたにヽかげかくしてるひのくれしけふにやはあらぬ
https://gyazo.com/c745a1b609325428abb801140b487d81
(注)
宇治山撰喜法師歌(?)
わがいほはみやこのたつみしかぞすむ
(ここの漢文はよくわからない)
うぢのそうきせは、こと
ばかすかにして、はじめ
をはりたしかならず。い
はゞ、あきの月をみるに、
あか月の雲にあへるが
ごとし。よめるうたおほく
きこえねば、これこれ字
かよはして、よくしらず。
(下の注)
わがいほはみやこのたつみしかぞすむよをうぢ山と人はいふなり
おのヽこまちはいにし
へのそとほりひめのりう
なり。あはれなるやうにて
https://gyazo.com/a18083570590b6383b31b1d510508b81
つよからず。いはゞよき
をむなのなやめると
ころあるにヽたり。つよか
らぬは、をうなのうたな
ればなるべし。おほとんの
(下の注)
おもひつヽぬればや人のみえつらんゆめとしりせばさめざらましを
いろみえ(...)つろふものは世中の人のこヽろの花にぞありける
わびぬればみをうきくさのねをたえてさそふみづあらばいなむとぞおもふ
そとほりひめの歌
わがせこがくべきよひなりさ(...)がにのくものふるまひかねてしるしも
くろぬしは、そのさま
いやし。いはゞたきゞおへる
山人の、はなのかげにや
すめるがごとし。このほか
(上の注)
おもひいでヽこひしきときははつかりのなきてわたると人はしらずや
かゞみ山いざたちよりてみてゆかむとしへぬるみはをいやしぬると
の人ヽそのなきこゆる、
のべにおふるかつらのはひヽ
ろごり、はやしにしげき
https://gyazo.com/d1d08969a9cbb4c55f5f14be3873432c
このはのごとくにおほ
けれど、うたとのみおもひて、
そのさましらぬなるべし。
かヽるに、いますべらぎみの
あめのしたをしろし
めすこと、よつの月こヽの
かへりになむなりぬる。あまね
き御うつくしみのなみ、
やしまのほかまでながれ、
ひろき御めぐみのかげ、つ
くばやまのふもとより
しげくおまし/\て、よろ
https://gyazo.com/60facd3e8bc1078569e16297efddc109
づのまつりごとをきこし
めすいとま、もろ/\のことを
すてたまはぬあまりに、
いにしへのことをもわす
れじ、ふりにしことを
おこしたまふとて、いまも
みそなはし、のちのよにも
つたはれとて、延喜五年
貫之集を引用しているみたいcFQ2f7LRuLYP.icon やまとうたしれる人ヽ、いまむかしの歌をたてまつらしめたま(て?)承香殿のひがしなるところにて、えらばしめたまふ。はじめのひにふくるまでとかくいふあひだ、(?)所前のむめの木にほとヽぎすのなくを、四月六日のよなりければ、めづらしがりたま(?)しめしいだして、うたよま(?)たてまつる
(次ページ)ことなつはいかゞ(?)きけむほとヽぎすこのくればかりあやしきはなし
四月十八日に大内きヽの
とものり、御書のところの
あへがりきのつらゆき、さき
のかひの目凡かうちのみ
https://gyazo.com/0a7a664b0df6d5a97199049ed8775211
つね、衛門のふさうみ
ぶのたゞみねらにお
いらぬうたども、ふるき
、みづからのをもたてまつ
らせたまひて、それが中に
むめをかざすよりはじめ
て、ほとヽぎすをきヽ、もみ
ぢをおり、ゆきをみるにいた
るまで、又つるかめにつけて
きみをおもひ人をいはひ、
https://gyazo.com/56a80f11a834c94dc74f15b4169230ae
つまをこひ、あふさかにい
たりてたむけをいのり、あ
るは春夏秋ふゆとも
いはぬくさ/\の歌をなむ
えらばせたまひける。すべ
てちうたはたまき、なづ
く、このたびあつめえらばれて、
山した水のたえず、はま
のまさごのおほくつもり
ぬれば、いまはあすかゞはのせむ
なるうらみもきこえず、
https://gyazo.com/b816264957c50185795320d602d2f119
さゞれいしのいはほとなる
よろこびのみぞあるべき。
それ、まくらことばに、春の
はなにほひすくなくて、
むなしきなのみ秋のよ
のながきをかこてれば、
かつは人のみヽにおそり、
かつはうたのこヽろにはぢ
おもへど、たなびく雲のた
ちゐ、なくしかのおきふし
は、つらゆきらが、このよに
おなじくむまれてこのことの
https://gyazo.com/22cb45fa27b23190e9bddf427cc8617e
ときにあへるをなむよ
ろこびぬる。人丸なくなりに
たれど、うたのことゞまれる
かな。たとひときうつり、
ことさり、たのしびかな
しびゆきかふとも、この
うたのもじあるをや。あ
をやぎのいとたえず、まつ
のはのちりうせずして、
まさきのかづら、ながくつた
はり、とりのあとひさしく
とゞまれらば、うたのさ
https://gyazo.com/53d1ce508578a327b86e8978cdcfa9fa
まをしり、ことのこヽろを
えたらむ人は、おほぞら
の月をみるがごとくに、い
にしへをあふぎて、い
まをこひざらめかも。