三船の才
三船の才]
漢詩・和歌・音楽の三つの才能を兼ね備えていること。
[由来] 「大鏡―太政大臣頼忠伝」に出て来るエピソードから。一〇世紀末、平安時代中期のこと。時の実力者、藤原道長が、三つの船を仕立て、それぞれに漢詩・和歌・音楽が得意な人を乗せて川遊びをしたことがありました。このとき、その三つのどれもがうまいと評判の藤原公任は、道長から「どの船にお乗りになりますか」と尋ねられました。公任は和歌の船に乗りましたが、道長に才能を認めてもらったことでいい気になってしまって、納得のいく歌がよめず、後悔したとのことです。ただし、史実としては、これは道長の川遊びのときではなく、円融上皇の川遊びのときのできごとです。