ブリコラージュ
ブリコラージュは、理論や設計図に基づいて物を作る「設計」とは対照的なもので、その場で手に入るものを寄せ集め、それらを部品として何が作れるか試行錯誤しながら、最終的に新しい物を作ることである。 ブリコラージュする職人などの人物を「ブリコルール」(bricoleur)という。ブリコルールは既にある物を寄せ集めて物を作る人であり、創造性と機智が必要とされる。また雑多な物や情報などを集めて組み合わせ、その本来の用途とは違う用途のために使う物や情報を生み出す人である。端切れから日用品を作り出す世界各国の普通の人々から、情報システムを組み立てる技術者、その場にあるものをうまく使ってピンチを脱するフィクションや神話の登場人物まで、ブリコルールとされる人々の幅は広い。 ちょっと話がずれるけれど、制約の下で創造せざるを得ない(でなければ人命にかかわる)場合というとアポロ13号を思い出す(映画アポロ13が面白い) 1970年4月11日の打ち上げの
2日後、電線が短絡し火花が散ったことにより機械船の酸素タンクが爆発し、飛行士たちは深刻な電力と水の不足に見舞われることになった。司令船には独自のバッテリーと酸素が搭載されているが、それらは大気圏再突入の際に必要になるもので、使用することはできない。司令船の電力消費を限界まで抑えるために、月着陸船を救命ボート代わりにして、生成量が激減した飲料水の消費を極力控える負荷に耐え、無事地球に生還した。 特に、以下のようなブリコラージュせざるを得ない状況が生じていた
着陸船は、本来は2人の人間が宇宙に2日間滞在するように設計されており、3人の人間が4日間も生存できるようには作られてはいなかった。酸素については、着陸船は飛行士が月面で活動する際、一旦内部を真空にしたり、戻ったあと再び船内を与圧したりする行程があるため、十分な量が搭載されていてそれほど心配する必要はなかった。 問題は、二酸化炭素(CO2)の除去に必要な水酸化リチウム(LiOH)であった。飛行士たちが呼吸をするたびに、船内に二酸化炭素が放出されるが、一定濃度以上の二酸化炭素は人体に毒性があるため、除去する必要がある。それを除去するためのフィルターに使用されている水酸化リチウムが、着陸船内に搭載されている量では、帰還まではとてももたないのである。予備のボトルは船外の格納庫に置いてあり、通常は月面活動をする際に飛行士が取りに行くのだが、今回は船外活動をするだけの電力の余裕がない。司令船内には十分な予備があるものの、司令船の濾過装置は、着陸船とは規格が全く異なっていた。 司令船のフィルターエレメントは四角形であり、そのままでは着陸船の円形のフィルター筐体に装着することはできない。そのため地上の管制官たちは、船内にある余ったボール紙やビニール袋をガムテープで貼り合わせてフィルター筐体を製作する方法を考案し、その作り方を口頭で飛行士たちに伝えた。こうして完成させた間に合わせのフィルター装置を、飛行士たちは形状や設置状況が似ることから「メールボックス」と呼んだ。 https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/b3/Apollo_13_LM_with_Mailbox.jpg
上にはガムテープと書いてあるけど、正確にはダクトテープだね suto3.icon Engineers on the ground devised a way to bridge the gap, using plastic, covers ripped from procedure manuals, duct tape, and other items available on the spacecraft. NASA engineers referred to the improvised device as "the mailbox".
こんなこともあろうかと、ダクトテープを積んでおいた担当者は偉すぎるsuto3.icon
進化がまさにブリコラージュmtane0412.icon
cf.
有り合わせでなんとかする
芸術領域では、他の人の著作を利用する場合も多く著作権にかかわる場合も多いはるひ.icon 鬼ごっこを例に、パーツ化した要素の組み合わせで、新しい構造をつくる様子utanaka.icon
https://gyazo.com/89e3a74ed128452333c21dd83d507d2d